パックン 僕の持論は、弱者をバカにするといじめになる、権力者とか強者をバカにすると風刺になる。

早坂 そうですね。そう思います。

この前、テレビを見ていたら、日本のテレビは体制を風刺する笑いが少ないと誰かが言っていた。別の人が、チャプリンの精神を日本人は忘れているんですか、と言っていた。それを聞いて思ったのは、チャーリー・チャプリンの『独裁者』は、イギリス人のチャプリンが敵対するドイツの独裁者であるヒトラーを笑いにしたものなので、今の日本に当てはめるとしたら、日本人の映画作家が習近平とか金正恩を笑う形になる。そこは丁寧に見ないと間違えてしまうと思った。

パックン 確かに、異文化に口を出すときは気を付けないといけない。たぶん、日本のイルカ漁を題材にしたジョークもいろいろあると思うが、それを聞いたら日本人はいい気分がするかというのもある。だからといって、イルカ漁を指摘する言論の1つとしては、禁じるわけにはいかない。そういうジョークが世界に存在することを(日本人も)知っておいたほうがいい。

早坂 その通りだと思う。イルカ漁はまさにそうですし、右でも左でも保守でもリベラルでも、いろいろな議論があって矛盾がある。それでお互いがやり合うときに、特にSNSが発達した今、子供の喧嘩みたいに悪口を言い合うことが多い。そういうのをもっとユーモアを交えてやれたら面白いのに。それが大人の良識だと思う。

パックン よければ最後、とっておきのジョークを1つ、読者にプレゼントしてください。

早坂 じゃあ、たぶんトランプネタ、好きですよね。

パックン 大好き。

早坂 もう知ってると思うんだけど......。

トランプがピザ屋に行って、ピザを1枚買う。ピザ屋の店員が「ピザを6つに切りますか、8つに切りますか」と聞く。トランプが言う。「6つにしてくれ。8つじゃ食べきれないから」

※前編はこちら:「日本にも政治風刺はある、強かったのは太平洋戦争のとき」早坂隆×パックン

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※8月13&20日号(8月6日発売)は、「パックンのお笑い国際情勢入門」特集。お笑い芸人の政治的発言が問題視される日本。なぜダメなのか、不健全じゃないのか。ハーバード大卒のお笑い芸人、パックンがお笑い文化をマジメに研究! 日本人が知らなかった政治の見方をお届けします。目からウロコ、鼻からミルクの「危険人物図鑑」や、在日外国人4人による「世界のお笑い研究」座談会も。どうぞお楽しみください。

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ジョーク文化のあるアメリカで生まれ育ったパックンと、海外でジョークを長年収集してきた早坂さん。2人は比較文化論的なディスカッションの合間合間に、持ちネタのジョークを披露し合った。その対談を前後編に分けて掲載する(この記事は後編)。  なぜ日本のお笑いにはツッコミが必要だと思いますか。
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