Mike Stone

[ワシントン 26日 ロイター] - 米中間選挙まであと1週間余り。人工知能(AI)の影響は、ここにも見られる。有権者が候補者について知るのにAIを活用するようになる中、候補者らが力を入れているのは、自分が有利になるような回答をAIが返すようにすることだ。インターネット時代の到来に伴い、検索結果の上位に表示されるようにする検索エンジン最適化(SEO)が選挙戦略に取り込まれたが、AIの時代となり、生成エンジン最適化(GEO)へと、さらに変革している。

東部マサチューセッツ州。知事選で現職のモーラ・ヒーリー氏に挑む共和党候補、マイク・ミノーグ氏向けの戦略提案資料は、チャットGPT、クロード、ジェミニその他のチャットボットに対し、主要な争点においてミノーグ氏が最適候補だと答えるよう働きかけるというものだ。

AIがニュースの情報源となる事例が増えるにつれ、選挙戦陣営は新たにメッセージの出し方を管理する必要に迫られている。有権者が、税金、住宅、治安などの課題において誰が最適かとAIに質問した際、推奨してもらうためだ。

ミノーグ氏陣営向けのパワーポイント資料は、AIチャットボットによって頻繁に引用されるウェブサイト全体に、AIに親和性の高い数百ページ規模の政策文書や参照情報を作成すべきだと提案。また、主要なチャットボットが政治的な質問にどのように回答するかを追跡し、回答が候補者の公約を反映するまで体系的に発信内容を変更する方法も示している。

<チャットボットに聞く有権者>

全米市民権会議のキャメロン・ヒッキー代表によると、有権者の約25%が投票先を決定する際にチャットボットに候補者について質問したことがある。

「正しい情報を発信しなければ、AIエンジンが何を取り込むか分かったものではない」と語るのは、ミノーグ氏向けの戦略文書を作成した企業、ビジジェントのトーマス・ハウエル最高経営責任者(CEO)だ。

リレントレス・アウェアネスのマネジングパートナー、ジョー・ボニラ氏は、選挙陣営がAIを訓練する手法は現実化しており、米大統領選を含む「2028年の選挙サイクルまでには一般的になるだろう」と語る。同社はクリエイティブ戦略を手がけ、連邦、州、地方レベルの企業や政治候補者と連携してきた。

<月額5万ドルも>

AI戦略を提供する企業などへの報酬は、チャットボットがどれくらいの頻度で候補者を推奨するかを意味する「AI推奨シェア」に連動する。

ビジジェントのウェブサイトでは、ソフトウエアを月額134ドルで提供している。編集デザインや開発サービスを必要とする大口顧客の場合は月額最大9000ドルだ。

ハウエルCEOによると、政治分野の手数料は月額最低5000ドルだが「有料メディアや有料配置枠の構築、あるいはインフルエンサーへの接触や、出演一回ごとに対価を支払うようなサービスが含まれる場合は」月額5万ドルに達する可能性がある。28年大統領選挙戦が本格化するにつれて、報酬はさらに上昇することが予想されるという。

<求められる誤情報判別能力>

AIを念頭にしたこうした戦略は、候補者がどのように描写され、比較され、推奨されるかに影響を与えるデータをネットやAIアシスタントに供給すればするほど、陣営自ら情報環境を形成できるという考え方に基づく。こうした中で一部の専門家が懸念するのは、AIを用いた選挙活動におけるファクトチェックや誤情報だ。

有権者のAI利用状況を追跡するコーカスAI社のメグ・シュウェンツファイアー氏は「私たちはまだ新時代の扉の前に立っている。今年の焦点は、候補者が自身のウェブサイトをチャットボットの結果に確実に表示させることだ」と述べた上で、AIが権威ありげに回答する未検証の情報から身を守る必要があると強調した。

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