[東京 27日 ロイター] - 国内生命保険会社の2026年度下期運用計画で、円債はポートフォリオを強化する取り組みが中心となる。過去の超低金利環境で購入した日本国債を売って利回りが高くなった国債と入れ替える動きが活発化しそうだ。世界の金利は上期に大幅上昇したが、生保各社の間では円金利のさらなる上昇余地は限定的との見方が多い。これまで買いを様子見していた姿勢を変化させる兆しも一部にはみられる。

<低利回り債の入れ替えが中心に>

ロイターが26日までに国内主要生保10社を取材した一般勘定運用計画によると、下期の円債残高は日本生命や第一生命など4社が減少、太陽生命や富国生命など3社が増加、明治安田生命やかんぽ生命など3社が横ばいの見通しで、スタンスはまちまちとなっている。生保各社からは「利回り的には十分投資に足る水準」(日本生命の石田大輔執行役員・財務企画部長)など、円債自体には投資妙味があるとの見方が多く聞かれるようになった。

明治安田生命では「30年債で4%の利回りは魅力的」として、円債ポートフォリオの大部分を今の金利水準で入れ替えたい方針。下期の残高は横ばいの計画だが、北村乾一郎執行役員・運用企画部長は「今の時間を大切に買い入れを進めたい。金利がここから上がっても膠着しても買う」と一歩踏み込んだ。

減少や横ばいを見込む会社にしても「残高を減らしに行くオペレーションではない」(住友生命の泉忠和・運用企画部長)との声が出ている。保有債券の償還額が多いことや、低利回り債券の入れ替えが中心で購入があっても簿価ベースの残高は減るというテクニカルな要因が背景にある。

<超長期金利上昇は最終局面入りか>

今年度は、グローバルな金利高のほか日銀の利上げ観測や財政懸念が複合的に影響し、国内金利にも上期を中心に大きな上昇圧力がかかったが、それも最終局面に差し掛かったとの見方が生保各社の間では優勢になっている。

長期金利(新発10年国債利回り)は9月下旬に30年ぶり高水準の3.115%に上昇、長期の円建て負債を抱える生命保険会社の主な投資対象である30年債の利回りは10月初めに4.25%と過去最高水準を更新した。

ただ足元の長期金利は2.8%、30年金利は3.8%と、その後は上昇が一服している。各社が示した年度末の市場見通しをみると、10年金利が3.0─3.3%、30年金利が4.0─4.4%と、現行水準からは小幅な上昇の予想が多い。とりわけ、超長期金利の上昇は最終局面に差し掛かった可能性が意識されている。

財政懸念の緩和がその要因の一つとみられる。高市早苗政権が掲げる積極財政について、太陽生命は「政権から市場に配慮する発言が目立つこともあり、‌財政懸念も徐々に落ち着いてくる」(清友美貴・取締役常務執行役員)との見方を示す。

かんぽ生命も、日銀や政府は以前より投資家との対話ができているとして、「政策への信頼感を徐々に受け、ここからは超長期金利に安定感が出てくる。債券への需要が出てくるのではないか」(野村裕之執行役・運用企画部長)と予想する。上期は金利上昇スピードが速く、安定する局面を待ちながらの購入だったが、下期は上期より強いスタンスで円債投資に臨むとの考えを示した。

<株高がもたらす円債ポート強化の好機>

生保各社が足元で円債の入れ替えに注力する背景には、金利上昇で国内債券の含み損が膨らむ一方、国内株式の含み益が拡大していることも後押ししていそうだ。全体収支への影響を抑制しながら円債ポートフォリオの収益性向上を図る好機、と捉える会社は多い。

第一生命は「低利回り債の入れ替えでは売却損が出るが、一方で株式の売却で出る益をうまく活用し、PL(損益計算書)全体をコントロールする運用をしている」(市村直人運用企画部長)と説明している。

※「国内主要生保の2026年度下期の資産運用計画・市場見通し」一覧はこちらでご覧いただけます。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。