Jonathan Landay

[ワシントン 23日 ロイター] - サウジラビアが弾道ミサイル工場を拡張し、より長射程で搭載重量の大きい固体燃料式弾道ミサイルの製造を目指している可能性がある。米シンクタンク、外交政策研究所(FPRI)の2人の研究員が、1年余りにわたる商用衛星画像分析を基に指摘した。

ミサイル性能の向上は、イランからの攻撃抑止や、親イラン武装組織フーシ派との戦闘に寄与し得る。一方で、核拡散懸念が浮上している米サウジ民間原子力協定を巡り、米議会で反対論が強まる可能性もある。

FPRIの研究員サム・レア氏とマイケル・ダイツマン氏は、米プラネット・ラボが2025年4月から26年9月にかけて撮影した、リヤドの西約200キロメートルに位置するドゥワドミの複合施設の衛星写真を分析した。

レア氏によると、サウジは現在、中国の固体燃料式弾道ミサイル「東風15(DF15)」を生産している可能性がある。ドゥワディミの拡張は、より射程の長い「東風21(DF21)」か、それに似たミサイルを生産するためとみられるという。

米政府が長年、長射程ミサイルシステムの輸出を制限してきたため、サウジ政府は中国に頼ったとも考えられる。

91年に機密解除された米中央情報局(CIA)の報告書によると、サウジは87年に中国から約40基の液体燃料式弾道ミサイル「東風3(DF3)」を秘密裏に取得した。

FPRIのチームは最近、ソーシャルメディアの動画や写真から、イエメンで、サウジが発射した固体燃料式の「東風15(DF15)」の残骸とみられるものを確認した。

一連の衛星写真によると、ドゥワドミの拡張は25年4月に保管用とみられる建物の整地と掘削によって始まり、鋳造ピット(ミサイルのモーターケース内に燃料原料の混合物を流し込んで固化させる作業孔)用とみられる建物の工事は同月下旬または5月上旬に開始された。

25年12月12日の写真で、まだ屋根がない建物内に2つの深いピットが確認された。26年9月18日の写真では、屋根の一部がまだ完成しておらず、不慮の爆発による隣接構造物への被害を防ぐための「頑丈な防爆壁」が両側に設置されている様子が写っていた。

この壁は米国やイランのミサイル工場の画像に写っているものと類似しており、「この建物が固体推進剤モーターの鋳造用であるさらなる証拠」だという。

レア氏とダイツマン氏は、建物は、既存の鋳造ピットを収容しているとみられる建物の少なくとも2倍の規模があると指摘。もう一つの新しい建物は、燃料原料や完成したミサイル部品の保管に使用されるとの見方を示した。

「画像は、サウジがミサイル生産拠点のインフラを拡張していることを示唆しており、より大きなペイロード(搭載重量)を運搬できるか、より長い射程に到達できる大型ミサイルを製造するための可能性が高い」とした。

ロイターの依頼でFPRIの分析を精査した国際戦略研究所(IISS) のリサーチフェロー、サーシャ・ブルッフマン氏も、ドゥワドミの拡張はより強力な固体燃料ミサイルを製造するためのものである可能性があるとの見解に同意した。

同氏は「イランはミサイルやドローンでサウジの好きな場所を攻撃できるため優位に立っている」と指摘。長射程ミサイルが配備されれば、サウジは米国供与の戦闘機「F15」をイランの防空網の危険にさらすことなく、イランを攻撃できるようになると述べた。

ドゥワドミの状況を衛星画像で追跡している調査分析機関CNAのデッカー・エベレス氏は、ミサイル能力強化の動きは、他の湾岸諸国でもみられると指摘した。

中国大使館と中国国防省はコメントの要請に応じなかった。CIAはコメントを控えた。ホワイトハウスもコメントの要請に応じなかった。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。