Steven Scheer

[エルサレム 25日 ロイター] - 今週の総選挙で再選を目指すイスラエルのネタニヤフ首相が、国際的な制裁が科された場合に暗号資産(仮想通貨)を活用して経済を守る構想を示し、経済学者や政敵から批判を浴びている。

ネタニヤフ氏は23日、イスラエルのテレビ局チャンネル10のインタビューで、同国に対する制裁が拡大する事態に備えていると述べた。

英国、フランス、カナダは9月、ヨルダン川西岸のイスラエル入植地からの輸入を禁止すると表明。一部の伝統的な同盟国との間で外交的孤立が深まっていることが浮き彫りになった。

ネタニヤフ氏は「制裁が科される可能性があり、銀行も対象になり得るため、制裁を回避できる経済の仕組みを構築する必要がある」とし、「(制裁を)回避できる通貨がある。われわれはその取り組みも進めている」と述べた。

暗号資産を指しているのかと問われると「その通りだ」と答え、ブロックチェーン技術も選択肢に挙げた。

この発言に対し、イスラエル中央銀行は異例の非難を表明。暗号資産は制裁を回避する手段にはなり得ず、政治指導者はそうした措置を不要にする政策に注力すべきだとした。

「イスラエル経済にとって正しい道は、主要貿易相手との経済関係を維持し、制裁とそれが経済に及ぼす悪影響を防ぐことに注力することだ」と強調した。

ネタニヤフ氏は25日も自身の実績を擁護し、有権者に支持を呼びかけるとともに、イランの支配体制打倒に向け、トランプ米大統領と協力できる時間はあと2年あると述べた。

<構想に批判>

イスラエル中銀の元当局者や複数のノーベル賞受賞者を含む100人超の経済学者は25日、ネタニヤフ氏の提案に警鐘を鳴らす書簡に署名した。同氏の構想が失業の増加、海外からの投資減少、世界におけるイスラエルの経済的地位の崩壊につながると指摘した。

27日の選挙でネタニヤフ氏の最大の対抗馬となるガディ・アイゼンコット氏は、暗号資産構想を「狂気の沙汰」と批判。「ビビコイン政策」が企業の国外流出を招き、国家安全保障を損なう恐れがあると述べた。

野党党首のラピド前首相は「ネタニヤフ氏は常軌を逸している」とした上で、「彼はこの選挙を前に、イスラエル国民に対し、ロシアやイランのようにパンを求めて1時間半も列に並ぶことになると約束している」と述べた。

世論調査では、今回の選挙でネタニヤフ氏率いる与党連合も野党連合も議会の過半数を確保できず、膠着状態に陥る可能性が示されている。

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