Takahiko Wada Leika Kihara

[東京 5日 ロイター] - 元日銀審議委員の野口旭・専修大学経済学部特任教授は、ロイターのインタビューで、「リフレ的な政策は役割を終えた」と述べた。需給ギャップがプラスで推移し、基調的な物価上昇率が2%に近づいている中で「ここからの需要拡大はリスクが多すぎる」と警戒感を示した。世界的にインフレ圧力が高まる中で、日銀は先行き政策金利を1.75%まで、情勢によっては2%程度まで引き上げる可能性があるとした。

野口氏はリフレ派の論客として知られる。2021年4月、当時の菅義偉政権の下で審議委員に就任し、今年3月まで務めた。

野口氏は、賃金上昇率が3%程度で定着していることは、基調的な物価上昇率が「着実に2%に近づいていることを意味している」とし、もはや需要を下支えする必要はほぼないと語った。財政拡張は金利が大幅に上昇して民間投資を抑制する「クラウディングアウト」につながりかねず、利上げが遅れればインフレや円安のリスクがあるという。

高市政権が掲げる「責任ある積極財政」が単なるバラマキとは異なるというのであれば、補助金などの無駄を削減していることをはっきり示すことで「マーケットの信認を得る必要がある」と指摘した。

日銀の9月利上げについては、基調物価が2%に近づく中で、日銀とすれば累次の利上げの効果や基調物価の2%定着をじっくり見極めたいところだろうが、「マーケットの状況から考えてやらざるを得なかったのではないか」との見方を示した。市場が完全に織り込む中で利上げを見送れば円安が強まり、ドル/円が160円を再び超えてしまうことがリスクとして意識されていたのではないかとみている。

「日銀が直接的に気にしているのは為替」とも語り、食料インフレの再来を回避する観点から、日銀は「160円に定着させたくないと思っているのではないか」と述べた。

世界的にインフレ圧力が高まり、各国の中央銀行が利上げに転じる中、日銀も「そんなに悠長なことは言っていられない」と指摘。米連邦準備理事会(FRB)の10月利上げ観測の後退で「日銀が連続利上げを迫られることは避けられるのではないか」とする一方で、「12月は(利上げを)やらなければいけない可能性は依然として高い」という。

物価の上振れリスクを踏まえれば、利上げは「1.75%までは行かざるを得ないのではないか」と話し、世界経済や中東情勢などの状況次第では2%程度まで利上げしなければならなくなるとの見方を示した。

野口氏は、今回のインフレ局面の前の欧州の中立金利が2%程度で、それより一段低い1.75%が日本の実体経済には「いい塩梅」とみていたとし、政策金利が1.75%であれば物価上昇率を差し引いた実質政策金利はなおマイナスで、実体経済も持ちこたえられるとの考えを示した。

しかし、政策金利が2%台になると、実質金利がプラスとなり、「多くの経済主体が実質的な金利負担にきちんと対応できるのか心配になってくる」と指摘。基調物価が「跳ね上がっている状況にはない」として、現状は実質金利をプラス圏に持っていくような利上げは必要ないとの認識を示した。

*インタビューは2日に実施しました。

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