Uditha Jayasinghe
[ガルウェラ・ヤヤ 3日 ロイター] - スリランカの農家、A・M・パトマセナさん(48)によると、自宅の井戸は30年以上で初めて枯れかけ、家族と2頭の牛に必要な水をかろうじて賄える程度しか出ない。同国で最悪級とされるエルニーニョ現象に伴う干ばつの被害だ。
スリランカは今年、天候不順で大きな影響を受けた南アジア諸国の一つだ。一部の主要農業地帯では、降雨量が長期平均を85%から100%下回っている。政府は数万人に水を届ける手配を進めている。
最も被害の大きい地区の一つ、アンパラ県にある小村ガルウェラヤヤの小屋で、パトマセナさん(48)は「干ばつは激しさを増し、井戸に染み出る水量は到底足りない」と語る。「小さな穴を掘り、水が染み出してくるのを待って体を洗っている」
エルニーニョは、太平洋赤道域の中部から東部にかけて海面水温が平年より高くなる気象現象。アジアの一部に乾燥をもたらし、他地域では激しい暴風雨を引き起こすことが多い。気象予報関係者によれば、今年は観測史上最強となりうる「スーパーエルニーニョ」が発生する公算が大きいという。
気温の急上昇により、スリランカ北部、東部、南部の広い範囲はすでに乾き切っている。農作物を育て、人々の飲料水を支えてきた小規模な貯水池や河川、湖も干上がっている。
スリランカ政府は、今年の影響は数十年で最悪となる可能性があり、国内にある数百のこうした貯水池の水位が約10%まで低下したと述べている。
政府当局者や複数の住民への取材によると、幹線道路沿いやアクセスしやすい場所にある多くの住宅には、3日から5日ごとにトラックで飲料水が運ばれている。一方、遠隔地の一部では、住民が最大23日待つこともある。
<農家の収入に打撃>
被害を受けた地区では、人々は大きな青いプラスチック製の水容器を門口に置き、給水を待つ。一方、井戸には人々が集まり、水浴びをしたり、食器や衣類を洗うための水や調理用に持ち帰る水をくんだりしている。
「給水を補うため、井戸に残った最後の水を集め、洗濯や水浴びに使っている。それでも水がなくなることがある」と、コナラ・ムディヤンセラゲ・スマナワティさん(49)は語った。コロンボから約160キロ離れた、最も被害の大きい地域の一つモナラガラに住む。
懸念されていた通り、農家の収入は大きな打撃を受けており、融資の返済はおろか、日々まともな食事を取ることさえ難しくなっている。
前出のパトマセナさんは、干ばつ以前はササゲの栽培で月に約2万スリランカルピー(約9500円)の収入を得ていたが、この危機で全てを失い、生活のために日雇い労働を余儀なくされた。
息子が営んでいた養鶏場も、暑さと水不足のため数週間前に閉鎖に追い込まれた。ある日の夕暮れ、パトマセナさんは家族で食卓を囲む前に、まずブリキの容器で牛に水を与えるよう妻に頼んだ。パトマセナさんは「何もない日には、家族で食事を抜くこともある」と語った。