<為替市場の動きが激しくなった要因は何か。ベッセント米財務長官が高市政権に政策転換を求めた――という報道は何を意味するか>
為替市場でドル円が大きく円高に動いている。9月2日までは1ドル160円付近で推移していたが、同日の欧州時間から米国時間に158円台まで円高ドル安に動いた。
この日は、米ADP雇用統計が下振れし、ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・C・ウィリアムズ総裁が利上げに慎重な姿勢を示したことで、米国金利がやや低下した。米国金利の低下はドル安円高の要因の一部だろうが、為替市場でドル安が進んだ時間帯に米国金利は方向感なく推移しており、値動きはやや不可解だった。
さらに、翌9月3日にはアジア時間から米国時間まで、159円付近から一時155円台半ばへと、ドル安円高が大きく進んだ(4日のアジア時間には156円付近で推移)。この日も、米国時間にクリストファー・ウォラーFRB(米連邦準備理事会)理事が利上げにやや距離を置いた考えを示し、米国2年国債金利が0.03%ポイント低下、これがドル安の一因である。
ただ、ドル円相場ではアジア時間から円高が始まり、3円以上円高が進んでおり、この日の米国金利の低下だけでは説明しづらい。とすれば、日本側の要因で円高が進んだことになる。
一方、9月2日から3日にかけて、日本の10年国債金利は米長期金利の動きにつれて低下している。
9月半ばに予定されている日本銀行の金融政策決定会合では、(是非や可能性について議論の余地はあるが)先週末時点で0.25%の利上げがあることが、金融市場でほぼ織り込まれている。つまり、日銀の政策に関する追加的な材料が限定的な中で日本の国債金利が低下しており、日銀の政策への思惑が今回の円高をもたらしたとは言い難い。
以上を踏まえると、9月2日以降は、米日金利動向とは別の要因で円高ドル安が進んだと言える。