Bart H. Meijer Polina Devitt
[アムステルダム 2日 ロイター] - オランダ中央銀行は2日、北米のニューヨークとオタワで保有していた金準備86トンについて、過去6か月間にイングランド銀行(BOE)での保管に移転したと公表した。地政学的な緊張が高まる中、危機への備えを強化するためだという。
切り替え分は、オランダ中銀がこれまでニューヨークとオタワで保有していた金準備の27.5%に相当する。ニューヨークで約59トンを売却し、その代わりにロンドンでイングランド銀の市場基準を満たす金を購入。さらに北米からオランダへ27トンの金の現物を移送する一方、同量のイングラン銀の取引基準を満たす金を、オランダからロンドンへ再配置した。今回の移管後もオランダの金準備の総量は612.4トンで変わらない。
今回の手続きにより、オランダの金準備のロンドンでの保管は全体の32%となった。国内で保管分は約31%で、残る37%はニューヨークとオタワにほぼ半分ずつ保管されている。
オランダ中銀は今回の措置について「イングランド銀行に保管されている金は、世界で最も容易に取引できる金とみなされており、危機的な状況で最も速やかに利用できる」と説明。スレイペン総裁は同中銀が準備金を使用する事態を想定しているわけではないが、「強靱性と備えを強化する必要がある」と述べた。
金融大手ジュリアス・ベアのアナリスト、カルステン・メンケ氏は「市場の観点から見れば、オランダ中銀の説明には信ぴょう性がある。イングランド銀に保管されている金は一般的に、ストレスの掛かった局面でより容易に取引できると考えられている」と述べた。その上で「より広い意味では、今回の動きは、中銀が準備資産の強靱性、実務上の即応性、保有資産の分散にますます重点を置いていることを映している。地政学的リスクが数年前より高まっていると認識される状況の下、大きな流れに沿った動きだ」とした。
イングランド銀は各国・地域の中銀向けに金を保管。同行が拠点を置くロンドンは、世界最大の金の店頭取引市場の中心地で、市場参加者同士が取引所を介さずに直接金を売買している。
フランス中銀も2025年7月から26年1月にかけて、ニューヨークに保管していた古い金地金129トンを売却し、国際基準を満たす金地金を購入した際に、新たな購入分をフランス国内で保管した。129トンはフランスの金準備総量の約5%に相当する。フランス中銀のビルロワドガロー総裁は3月、こうした判断について政治的な動機はないと説明した。