Tamiyuki Kihara
[東京 3日 ロイター] - 衆院で野党第1党の中道改革連合が分裂する公算となり、高市早苗総裁(首相)率いる自民党は当面、連立を組む日本維新の会とともにより盤石な体制を築きそうだ。大規模な野党再編に向かうとの観測もあり、政権に対峙する野党勢力が存在感を示すまでには時間がかかる可能性もある。少数与党の状況に苦しむ参院では、自民幹部から公明党の「加勢」に期待感を示す声も聞かれる。
<「協力してもらえるならありがたい」>
「公明がどういうスタンスになるのか推移を見守りたい」。中道の分裂が決定的となったことを受け、参院自民幹部はロイターの取材にこう述べた。背景には、2月の総選挙で歴史的圧勝を遂げた衆院と違い、いまだに自民と維新を合わせても過半数を割る参院の苦しい台所事情がある。
高市氏の総裁就任を機に26年続いた自民との協力関係を終えた公明は1月、衆院で立憲民主党とともに中道を結党した。参院では公明として残存することになったものの、自民との溝は顕在化。2026年度当初予算案にも反対に回り、「少数与党」となった自民と維新は対立法案のたびに小規模政党や無所属議員を引き入れる多数派工作に追われることになった。
衆院で中道が旧公明系と旧立民系議員とに分裂すれば、参院でも公明と立民の間に距離ができるのは必至だ。立民関係者によると、参院では立民と公明による統一会派の結成も難しい状況が続く。こうした状況の中、自民が今後の重要法案の審議で公明の協力を得られれば、圧倒的多数を誇る衆院と合わせて与党は盤石の体制を築くことになる。来る臨時国会では消費減税法案の審議も控える。前出の参院自民幹部は「公明は是々非々で法案審議に臨むことになるだろう。部分的にでも協力してもらえるならありがたい」と語った。
<「年末までには方針を固めなければ」>
一方、合流を断念した中道、立民、公明は今後どうなるのか。複数の野党関係者はいくつかの可能性を指摘する。一つは中道の旧公明系議員が参院公明に合流し再び公明を結成。残った旧立民系議員の21人のみで中道を継続するシナリオだ。ただ、関係者の一人は「旧立民系の中には中道の存続に懐疑的な者も少なくない」とし、21人が一枚岩で行動し続ける可能性は低いと話す。
そこで浮上するのが、中道の旧立民系から離党者が現れ、新党を結成する可能性だ。その場合、参院の立民からも新党に合流する議員が出てくることも考えられ、野党はより細分化されることになりそうだ。同関係者は「旧立民系にも、参院の立民にも、新党に集結する形の方が支持者に説明しやすいとの声がある」と解説した。
ただ、いずれの可能性も流動的だ。前出の関係者は「新党を結成しても有権者から『またか』と言われたら終わりだ。核となる政策や党の顔となる人物の選定など入念な準備が必要になる」と話す。別の関係者は政党交付金の交付額が毎年1月1日の所属国会議員数などに基づいて算出されることを念頭に、「年末までには方針を固めなければならない」と語った。
<「得をするのは自民だ」>
いずれにしても、野党がいま以上に細分化する可能性は高い。
似た状況は1990年代にもあった。93年、自民の一部が分裂して新党さきがけと新生党を結党。細川護熙首相による非自民連立政権が誕生した。自民は94年、村山富市首相の「自社さ政権」で与党に復帰。下野した新生党など複数の野党は同年末に新進党を結党したものの、3年後には解党して自由党、新党平和などに細分化。乱立した少数野党は翌98年、民主党などに集約されることになる。
こうした経緯を知る野党関係者は、中道や立民の現状を当時と重ね、「無理にまとまるより、一度それぞれの議員が思うように行動した方がいいのかもしれない」と言う。かつての民主党がそうだったように、政権交代可能な野党が誕生するまでの過渡期が訪れているとの認識を示したものだ。「ただ、時間はない。野党がバラバラな時期が長ければ長いほど、得をするのは自民だ」
(鬼原民幸 編集:橋本浩)