ただし、こうした技術が家庭に広く普及するまでには、大きな課題が残っている。現在、AIを活用したリハビリシステムの多くは保険の対象外であり、医療機関側が設備投資として導入費用を負担しなければならない。一般の患者も保険で利用できるようにするには、遠隔で回復状況を把握することによって再入院率が低下することを証明し、保険会社に費用負担を納得させることが不可欠となる。
ジャヤラマンは、「こうした技術には治療の効率や成果を高める可能性がある一方、その有用性を証明し続け、より多くの医療機関が導入できる持続可能な仕組みをつくる必要がある」と指摘する。
AIは今後、リハビリでますます重要な役割を担うとみられている。ただし専門家の間では、AIが理学療法士に取って代わる可能性は低いとの見方で一致している。
MITのラクナーは、「理学療法士には、ロボットにはない多くの能力が備わっている」と言う。「療法士の手は極めて敏感で、筋肉の緊張や動き、患者の力み具合などの微妙な変化を感じ取り、瞬時にサポートを調整できる」。また、リハビリには人間の判断力や共感、対話、そしてつらい回復期にある患者を動機づける力も欠かせない。
そのため、研究チームが目指しているのは理学療法士の代替ではなく、身体的負担の大きい作業や反復的な作業を担う「ロボット助手」の実現だ。
「患者の状態を評価し、運動内容を決め、治療全体を管理するのはあくまで理学療法士だ。ロボットは、療法士が手を差し伸べられる範囲を広げるためのツールと考えている」とラクナーは言う。
夢の「最強計算機」が実用化へカウントダウン。医療・通信・金融・AIはこう変わる