[2日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が2日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、8月24日までの数週間に米経済活動が「控えめ(modest)」に拡大したほか、雇用は「小幅(slight)」に増加し、物価は「緩やか(moderate)」に上昇した。まちまちの内容となり、9月15─16日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げの是非を判断するFRB当局者にとって、いずれの方向にも決め手を欠く可能性がある。
報告書は「今後数カ月の全般的な見通しは前向きなものの、業種ごとにまちまちで、エネルギー価格の高騰や政策、紛争の影響を巡る不確実性が高まっている」と指摘した。
物価上昇のペースは12地区のうち3地区で鈍化、8地区で横ばい、1地区で加速した。一部地区では顧客の価格感応度が強まり、投入コストの価格転嫁を制限しているとの声もあった。コスト上昇は複数地区の製造業と建設業で顕著で、エネルギーや輸送、金属や石油化学製品といった原材料の価格上昇が広く報告された。複数の地区で関税関連の影響が引き続き報告されたほか、企業からは医療費や保険料のコスト圧力が「著しい」との声があった。
<インフレ懸念 >
インフレを巡る懸念は強く、ボストン地区連銀は「エネルギー価格の高止まりや新たな関税の可能性を巡り、不確実性が高まり、インフレの上振れリスクが強まっている」と報告した。「高いエネルギー価格が家計を圧迫しているとの指摘が多く、中東情勢が未解決のまま続けば、暖房が必要な季節に影響が強まるのではないかと懸念が示された」という。
今回の報告では「インフレ」の言葉が17回言及され、前回の18回とほぼ同水準となった。
住宅市場が不調だとの指摘も相次ぎ、ニューヨーク地区連銀は「窓や建具の販売業者は、住宅関連の支出が控えられ、売り上げが鈍化している」と報告。セントルイス地区連銀は「テネシー州西部の関係者は、住宅市場が安定から鈍化へと移りつつあり、在庫が増えている」と報告した。
賃金上昇がインフレ押し上げの大きな要因だとする指摘はあまり見られなかったものの、一部の地区では、建設や製造など特定の業種で賃金上昇圧力が局所的に見られると報告された。サンフランシスコ地区連銀のレジャー関連業界の関係者は、人材獲得競争が和らぎ、賃上げが「控えめ」になったと指摘した。
メリーランド州の建設会社はリッチモンド地区連銀に対し、従業員をつなぎ留めるため、35%の賃上げを実施したと明らかにした。
各地区は、人工知能(AI)が労働需要にプラスとマイナス両面の影響を及ぼしていると報告した。多くの地区で、データセンターや防衛支出に関連する需要増が指摘された。
シカゴ地区連銀に対しては、ある関係者が「データセンターがなければ、建設業はリセッション(景気後退)に陥っていただろう」と述べた。
ウォーシュFRB議長が先週、基調的なインフレ率が目標の2%に向かって鈍化しているとの確信が得られなければ、FRBには「やるべき仕事がある」と述べ、追加利上げが必要となる可能性を示唆したことで利上げ観測は高まっている。 金融市場はFRBが今月のFOMCで利上げを実施する確率を約65%、据え置きを維持する確率を約35%と織り込んでいる。
同報告のデータは8月24日以前に収集された。