Gopal Sharma Sudarshan Varadhan

[カトマンズ/シンガポール 1日 ロイター] - ヒマラヤの山岳地帯で先週発生した大規模な土石流災害でネパールの発電能力の約1割が吹き飛んだことで、同国の野心的な水力発電拡大計画に疑問符が付いた。ネパールは長年にわたって電力輸出国だったが、今は電力供給を維持するためにインドからの電力輸入に頼らざるを得なくなった。

水力発電はネパールの電力のほぼ全てを供給しており、急速に成長する輸出収入源となってきた。アダニ・グループやNHPC 、GMRなどは石炭を使った火力発電への依存度が高いインドに電力を供給するため、今後10年間に発電容量を3倍超に引き上げる資金援助を約束している。

しかし、ネパールの主要な水力発電地域であるバグマティ州を土石流が襲ったことで、同国は電力輸出を停止した。ネパールのエネルギー・水資源・灌漑(かんがい)省の報道担当者、モハン・クマール・シャキヤ氏はロイターに、今後数カ月間の国内の電力不足を補うためにインドから電力を購入することになると説明。その上で「災害後のニーズ評価が実施される。その報告書により、復旧にどれくらいの時間がかかるかが明らかになるだろう。時間がかかることになる」とし、ネパールの発電容量の1割に相当する431メガワットが影響を受けたと説明した。

環境専門家らは、ぜい弱な川床や洪水が発生しやすい渓谷に建設された、または計画されている水力発電所はリスクにさらされていると指摘。さらに化石燃料の使用によって加速する世界での気候変動により、リスクがさらに増大していると指摘する。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書の著者、アンジャル・プラカシュ氏は「ネパールの山々は10年間にわたって警告を発し続けてきた。氷河が薄くなり、雪線が後退しており、それにもかかわらず水力発電所の建設を続けたことに対してだ」と問題視する。

国際総合山岳開発センター(ICIMOD)のシニア雪氷圏スペシャリスト、ファルーク・アザム氏は、今回の土石流の規模は従来の警報システムの対応範囲をはるかに超えており、ヒマラヤ地域でのインフラ計画の見直しの必要性を浮き彫りにしたと訴える。

アザム氏は「環境や山岳の状況変化が、インフラの耐用年数を通じてどのような影響を及ぼすかを評価する必要がある」と指摘した。

国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)のサイモン・スティール事務局長は「人類が膨大な量の石炭、石油、ガスを燃焼させていることが、このような悲劇を(中略)はるかに起こりやすくしている」と警鐘を鳴らした。

IPCC報告書著者のアンジャル・プラカシュ氏は「あの谷が消えていくのを見守った村人一人一人が、数千キロ離れた場所で下された(温室効果ガス)排出に関する決定の代償を払わされたのだ」と強調した。

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