Michael Martina

[ワシントン 1日 ロイター] - 中国国有海運大手の中国遠洋海運集団(COSCO)が保有する船舶に秘匿された機器が、米国を含む対象国の沿岸付近で中国当局のための軍事通信傍受に利用されている。トランプ米政権の高官2人が明らかにした。

これら高官の話では、COSCOは数十年にわたり中国政府と情報収集面で協力関係を築いており、この仕組みを通じて中国は欧州、北米、アジアで活動する艦船や航空機の通信信号を収集しているという。

高官の1人は、船舶に搭載された高度な装置について「軍事通信技術や暗号化技術の発展状況に関する情報収集」を目的としていると説明。この取り組みにより、中国は貿易や軍事航行にとって重要な海上交通路や航路の監視も可能になるとしている。

高官らは、COSCOの船舶が使用しているとされる機器の詳細は明らかにしなかったが「高度なシグナルズ・インテリジェンス(通信情報収集)」用の装置で、通常の通信機器ではないと述べた。さらに中国政府は収集した情報を領有権問題での立場強化や、外国軍の動向に関する海上偵察、早期警戒情報の取得に活用しているという。

COSCOはコメント要請に回答していない。在ワシントン中国大使館の報道官はロイターに、中国政府が企業や個人に対して「現地法に反して海外に所在するデータ、情報、インテリジェンスを収集または提供するよう求めることは決してない。いわゆる『情報収集』という論調を広め、中国を中傷することに反対する。そうした主張には全く根拠がない」と反論した。

米海軍大学校が2025年4月に公表した報告書は、中国人民解放軍が中国の漁船団や商船隊を情報収集や監視活動に活用している可能性が高いと指摘した。

25年1月には米国防総省が、COSCOを中国軍との関連企業リストに追加した。この指定は企業の評判に大きな影響を及ぼし、米政府調達からの排除につながるが、正式な制裁措置ではない。

中国の法律は国内企業に対し、政府の情報活動への協力を義務付けている一方、COSCOは米国の港湾に寄港する世界有数の海運会社の1つで、米国内の港湾ターミナルでコンテナ船向けサービスの合弁事業も展開している。

こうした中でトランプ政権は25年、米国の造船業や海運産業の再建を目的にCOSCOを含む中国船会社に対して総額数十億ドル規模の港湾使用料を課す計画を進めていた。ただトランプ氏と中国の習近平国家主席が1年間の米中貿易戦争休戦で合意したことを受け、計画は停止された。この合意は今年11月に期限を迎えるため、今月の首脳会談では延長の可能性も議題となる見通しだ。

米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)の中国海洋戦略専門家、アイザック・カーデン氏は、COSCOが米国の物流やサプライチェーンに深く組み込まれているため、米政府が安全保障上の懸念に決定的な対応を取ることは簡単ではないとの見方を示した。

カーデン氏は「COSCOを米国のサプライチェーンや輸送ネットワークから排除することは、米国の貿易網にとって生命線を脅かしかねない大手術になる」と述べた。

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