Gergely Szakacs
[ブダペスト 2日 ロイター] - ハンガリーのマジャル首相は2日、国内唯一の原子力発電所であるパクシュ原子力発電所が、冷却水として利用するドナウ川の水位低下により運転開始から40年余りで初めて停止を余儀なくされると表明するとともに、「今後5日間が最も危機的な局面になる」と警告した。欧州各地では熱波と干ばつが続いており、電力供給や水資源への影響が広がっている。
ロシア製原子炉4基を備えるパクシュ原発は出力200万キロワットで、国内電力需要の約半分を担う。現地時間2日夕時点で稼働率は能力の1割強まで低下した。冷却水を供給するドナウ川の水位は過去最低水準に落ち込み、水管理当局は今後数日でさらに下がると予測している。
マジャル氏はフェイスブックに投稿した動画で「40度に達する猛暑日が迫る中、明日にはパクシュ原発が発電できなくなる」と述べた。その上で「電力網や公共サービス、市民生活はいずれも大きな負担に直面する」と強調した。
またマジャル氏は停止が数週間続く可能性に言及。その後の動画では「停止時期の判断は、厳格な安全手順に基づき発電所の運営側が決定する」と説明した。
政府の節電要請を受け、家庭や300社超の企業が自主的に電力使用を抑制した結果、需要は約40万キロワット減少したという。これにより電力系統への負荷が一定程度軽減された。
マジャル氏は「現時点では企業向けの強制的な使用制限は必要ない」と説明しつつ、必要に応じて早ければ3日にも規制措置を導入する可能性があると付け加えた。
カピタニ・エネルギー相によると、節電に協力している企業にはハンガリー石油大手MOL、韓国電池メーカーのサムスンSDI、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン傘下のアウディ、日本の自動車部品メーカー、デンソーなどが含まれる。
ドナウ川の水位低下は、国内の船舶運航や観光業にも影響を及ぼしている。政府記録に基づくと、首都ブダペスト近郊を含む100を超える市町村で水使用制限が実施されている。
最大野党ティサ党のラドナイ副党首は、輸入電力価格の急騰により、今回の危機でハンガリーが1000億─2000億フォリント(3億1500万─6億3000万ドル)の経済的損失を被る可能性があるとの見方を示した。