Kristina Cooke

[28日 ロイター] - 仕事と安全を求めて米国に不法入国したオーロラさん(24)は、単身で米国境にたどり着いた6歳の娘と再会するまでに半年余りを要した。

娘が米国に到着してから移民児童向けの保護施設で過ごしていた間、既に米国内で暮らしていたオーロラさんは娘を引き取るための手続きを進め、今年3月下旬にようやく再会した。「本当にうれしかった」という。

しかし喜びは長く続かなかった。再会から数日後、オーロラさんと娘は米移民・関税捜査局(ICE)に拘束され、南部テキサス州の家族収容施設へ送られたことが記録で確認されている。

これは一例に過ぎない。ロイターが独自に入手した米政府の内部データによると、第2次トランプ政権下で、難民再定住局(ORR)から提供された情報に基づき、1万2000人余りが移民当局に逮捕された。

ORRは1980年、戦争や迫害から逃れてきた難民の定住支援を目的に設立された。2000年代初頭からは、米国・メキシコ国境に単独で到着した未成年移民の保護も担当してきた。

これまで、こうした子どもの保護業務は移民取り締まりから切り離されていた。2008年の法律では、子どもたちをできる限り制限の少ない環境に置き、安全が確認され次第、速やかに施設から解放することが求められていた。

そのため、たとえ身元引受人が不法滞在者であっても、家族は国土安全保障省傘下のICEによる摘発を恐れることなく再会できるのが一般的だった。

<政策転換>

しかしトランプ政権は大きく方針を転換した。

内部データによると、25年1月以降にORRは保護者を伴わずに入国した子ども、その身元引受人(多くは親族)、さらには同居家族に関する情報を含む46万件超の「捜査の手がかり」をICEへ提供。これにより、多くの家庭が拘束や強制送還の対象となる恐れが生じている。

ORRとICEの連携強化についてはこれまでも報じられてきたが、ロイターは今回、移民取り締まり目的で共有された情報の規模を初めて明らかにした。

移民家族や支援団体、現職・元政府関係者への取材からは、この政策転換がもたらす広範な影響と人道的な負担が浮かび上がっている。

バイデン前政権でORR副局長を務めたジェン・スマイヤーズ氏は「ICEへの情報共有を防ぐための安全措置は完全に覆された。子ども福祉制度が、より多くの強制送還を実現するための手段として利用されている」と批判した。

一方、ORRはロイター向けの声明で「子どもの拘束には関与していない」と説明し、移民取り締まりに関する質問は国土安全保障省に問い合わせるよう求めた。

これに対し同省は、第2次トランプ政権下でORRがICE内の国土安全保障捜査局に「捜査の手がかりとなる可能性のある情報」を提供していると認めた。その目的については、犯罪歴を持つ者を含む「十分な審査を受けていない身元引受人」のもとに渡された子どもたちの所在確認だとしている。

<出頭後に拘束>

オーロラさんが米国に不法入国したのは2年前。危険な砂漠越えの旅に娘を同行させることはできないと考え、娘はメキシコの農村部に住む親族へ預けた。

その後オーロラさんが南部ミシシッピ州で家事清掃の仕事を見つけた昨年8月、親族の1人が娘を国境まで連れて行き、娘を移民当局に出頭させた。家族再会を目指す移民家庭では珍しくない方法だという。

娘は児童保護施設へ移送され、オーロラさんは引き取りに向けた審査手続きを開始した。

記録によると、オーロラさんに前科はなかった。半年にわたる審査では、DNA鑑定を含む大量の書類提出を求められた。

トランプ政権下では、身元引受人に対する審査が大幅に強化されている。現在は同居者全員の指紋提出も必要で、その結果として未成年の移民が施設で過ごす平均日数は、24年度の平均30日から26年6月には194日へと急増した。

ORRは個別事案へのコメントを避けたものの「審査強化は子どもを危険から守るためだ」と説明している。

オーロラさんの話では、娘との再会前日に自宅を訪れた移民捜査官から娘について質問を受け、翌週ICE事務所へ出頭するよう求められた。

その出頭時に捜査官から「米国で何か問題を起こしたことはあるか」と尋ねられたオーロラさんは「『何も悪いことはしていない。私がしているのは働くことだけだ』と答えた」と明かす。

しかし、その場でオーロラさんと娘は拘束され、テキサス州ディリーの家族収容施設へ送られた。約3週間後に釈放されたが、記録によれば足首に電子監視装置を装着され、移民裁判の結果が出るまで定期的な報告を義務付けられた。

国土安全保障省は拘束と釈放の事実を認めた上で、オーロラさんが「不法入国のため密入国業者の支援を受けたことを認めた」と説明している。

オーロラさんが収容されている間にミシシッピ州の大家は住居契約を打ち切り、家財道具も処分した。そのため母娘は、友人が住まいを提供してくれる西部カリフォルニア州へ移った。

現在オーロラさんは近い将来に強制送還されることを恐れている。「娘は夜中に泣きながら目を覚ますことがある。まだ施設に収容されていると思い込んでしまう」とオーロラさんは語った。

<引き裂かれた家族>

オーロラさんたちは少なくとも再会を果たすことができた。だが中には再び引き裂かれた家族もいる。

マーレニーさんは2023年、暴力から逃れるため末息子とともにグアテマラを離れ、米国へ不法入国した。南部テキサス州に住み、建設現場の清掃員として働いた。年上の息子ビクトルさんは祖国の親族宅に残っていたが、叔父が殺害されたことをきっかけに北を目指し、国境で当局に出頭した。

4カ月間ORR施設で過ごした後、ビクトルさんは18歳の誕生日を迎える前日の4月下旬に釈放された。家族が再会を祝うパーティーを開いた当時についてマーレニーさんは「本当に幸せで、その時は今のような状況になるなんて思ってもいなかった」と振り返る。

息子を引き取るため、自身とパートナーの納税記録や指紋など多くの書類をORRへ提出したマーレニーさんは「われわれは本当に何も問題がなかった。完全に潔白だったので、情報提供に不安はなかった」と話す。

ところがビクトルさんの釈放から2カ月後、マーレニーさんとパートナーは出勤のため車に乗り込もうとした際、ICE捜査官に銃を向けられ、拘束された。国土安全保障省はロイターに対し、ICEがマーレニーさんの「同居人」、つまりパートナーに対する刑事捜索令状を執行したと説明した。ただ具体的な容疑や所在把握の経緯については回答していない。

マーレニーさんは、銃を目にしたことは、グアテマラで逃れてきた暴力を思い出して精神的な傷となったと語った。

逮捕を目撃した近隣住民は、6歳の弟と自宅にいたビクトルさんへ連絡。ビクトルさんはガルベストン・ヒューストン移民支援プロジェクト(GHIRP)の法律支援スタッフへ電話をかけたという。

GHIRPのアレクサ・センドゥカス弁護士は「身元引受人本人だけでなく、その家族まで巻き込まれて拘束されるケースを数多く見てきた」と話す。

現在、ビクトルさんは弟の世話を一人で担っている。母親が逮捕された後、自身の移民裁判への出廷日を混乱の中で忘れてしまった結果、退去命令に直面。移民訴訟の再開を求めるため、弁護士を探している。それでもビクトルさんは「私は進み続けなければならない」と語った。

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