釈放後に報道陣の質問に答えるマリア・レッサさん ABS-CBN News / YouTube

名誉棄損の対象は2012年に掲載の記事

今回のレッサさんの逮捕の直接容疑は2012年3月に実業家のウィルフレット・ケン氏と当時弾劾裁判にかけられていた最高裁のレナト・コロナ判事の不適切な関係を指摘した記事に関するものだ。

ケン氏は2014年に当該記事のネットからの削除を要求するが、ラップラー側はこれを拒否。2017年、ケン氏はNBIに対してラップラーの当該記事に触れて「ラップラーはジャーナリズムの倫理に反している」と名誉棄損を訴えたのだった。

記事掲載時には発効していなかったサイバー犯罪法の「インターネット上の名誉棄損」を今回適用したことに関して、NBIのサイバー犯罪部門の責任者マヌエル・アルテ氏は「フィリピン・スター」紙に対して「インターネット上の名誉棄損が法律化された時点で当該記事を取り下げていれば、今回のような問題にはならなかった。しかし現在もその記事は掲載されている。つまり現在も法律に反しているということから捜査の対象になったということである」と説明している。

政権の圧力に屈しない姿勢に共感

CNNでマニラ、ジャカルタ支局長などを長く歴任したレッサさんは、2012年にニュースサイト「ラップラー」を創設。2016年6月に発足したドゥテルテ政権とは超法規的殺人を含む麻薬犯罪対策を巡って対立、「人権侵害である」と主張して政権批判の急先鋒となっていた。

このため自分や自らの政権に批判的なマスコミを嫌悪するドゥテルテ大統領側から「企業認可取り消し」「記者会見出席拒否」「脱税容疑」など数々の「妨害」をこれまで受けている。

しかしレッサさんは「私たちラップラーは10年後に『私たちは当時できる限りのことを全力でやった』と言えるような活動をしたい。私たちは逃げも隠れもしない」(2018年11月)との強い姿勢で圧力に屈しない覚悟をみせている。

14日午前の釈放後、マスコミに対しレッサさんは「これで保釈金の支払いは6回目であり、そして今回は最も高い10万ペソだった」と司法当局の執拗な「圧力」に抗議の意を示した。

国連人権理事会も深い関心