Manya Saini
[4日 ロイター] - トランプ米政権(共和党)は建国250周年を祝福する行事が始まった4日、新生児から成人になるまでの投資口座「トランプ口座」を立ち上げた。この口座を巡っては、拠出に充てるだけの可処分所得を持たない低所得世帯にとってはほとんど役に立たないとの批判が渦巻いている。
トランプ口座は11月の議会中間選挙を前に、有権者が生活費高騰を問題視している中で始まった。第二次トランプ政権の期間に当たる2025年─28年に生まれた米国民に対して政府が1人当たり1000ドルを拠出し、各家庭がこれを元手に積み立てられるようにする。
トランプ政権は、口座を通じて子どもの頃から投資や金融に対するリテラシーを培うことを目的に掲げている。
しかしながら、首都ワシントンに拠点を置くシンクタンク、ケイトー研究所の税制政策研究担当のトップ、アダム・ミシェル氏は「政府による給付金は国民を貧困から脱却させることに失敗してきた長い実績があり、今回が例外になると考える理由はほとんどない」と切り捨てる。その上で「真の恩恵を受けるのは既に安定した職に就き、貯蓄能力のある家庭だ」と指摘した。
決済大手ビザやテクノロジー企業デル、メディア・通信大手コムキャストなど米大手企業数社は、雇用主としてのマッチング拠出や追加資金提供を通じてトランプ口座を支援すると約束している。大手半導体メーカーのマイクロン・テクノロジーは2億5000万ドルを拠出すると表明した。
米財務省の報道担当者は「トランプ口座は、既に信託基金を持っている富裕層の家庭だけでなく、全ての親が子供の将来に投資できるようにすることで公平な機会を提供する」と主張し、他にも「数社の中小企業」などが参加していると明らかにした。
疾病対策センター(CDC)の暫定データによると、25年に米国で生まれた新生児は約360万人だった。
ベセント財務長官は昨年、トランプ口座によって政府が将来は社会保障の年金制度を民営化できる可能性があると発言して大騒動を引き起こした。野党の民主党議員らから激しい批判を浴びたのを受け、ベセント氏はトランプ政権が社会保障の保護に全力を尽くすと釈明する事態に追い込まれた。
トランプ口座は財務省が監督しており、運営は証券会社ロビンフッドと金融大手BNYが担っている。財務省は各家庭に対して詐欺行為に警戒するように促すとともに、注意すべき点の情報を提供している。
無料で口座を開設でき、親と家族、雇用主、慈善団体は税引き前ベースで年間最大5000ドルを拠出できる。
拠出金は、長期的な成長を目的とした低コストのインデックスファンドに自動的に投資。口座保有者は18歳になると管理権限を持ち、その時点で資金を引き出すか、投資を継続するかを選択できる。引き出し時には利益が課税される。
トランプ口座のウェブサイトでは、S&P500種総合指数の過去の平均リターンに基づいて、年間5000ドルの拠出を受ける子供が18歳までに約27万1000ドルを積み上げられると試算している。同じ額の拠出が続いた場合、55歳までに約1300万ドルまで増える可能性があるとうたっているが、実際のリターンは市場の状況によって変動する。
当初、全ての拠出金は、米国の株式指数に連動する低コストの上場投資信託(ETF)の「ステート・ストリートSPDRポートフォリオS&P500ETF」に投資される。他の投資対象には資産運用大手のブラックロックやバンガード・グループのETFが含まれており、これらを通じて米株式市場に幅広く投資できる。
ロビンフッドのスティーブ・クイーク最高仲介責任者は「トランプ口座の理念は、地球上で最も優れた資産形成手段である米国市場により多くの人々が参加できるようにすることだ」とコメントした。