今年1月初め、アメリカはベネズエラ侵攻に踏み切り、2月末にはイスラエルと共にイランへの先制攻撃に乗り出した。
当初の予想に反して長期化したイラン戦争は、公共財の提供者から秩序の攪乱者へと変貌するアメリカの姿を明らかにした。アメリカは、ホルムズ海峡の封鎖につながる軍事行動を行い、世界に影響を及ぼすエネルギー危機を生み出しておきながら、危機収拾の責任を果たさず、責任を同盟国に丸投げする姿勢を見せてきた。
イラン戦争はアメリカ覇権の終焉を決定的にするかもしれない。そのことを予兆させたのが、5月に北京で開催された米中首脳会談だった。
トランプはイラン戦争を終結させることもできないまま会談に臨み、対する習近平(シー・チンピン)国家主席は、国際秩序に対する大国の責任に何度も言及し、内外に世界のリーダーであることを示そうとした。
イラン戦争後の世論調査では、複数の同盟国で、中国よりアメリカこそが脅威だとみる傾向も強まっている。
アメリカが性急な軍事行動に踏み切り、封鎖されたホルムズ海峡への艦船派遣などをめぐり、同盟国との間に深い溝を生み出してきたことで、中国が「安定勢力」として相対的に評価されるという、アメリカにとって皮肉な状況が生まれているのだ。
トランプは「アメリカを偉大に」の掛け声の下、アメリカを決定的に衰退させた大統領として後世に記憶されることになるかもしれない。
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