Kalea Hall Nora Eckert
[デトロイト 1日 ロイター] - 大手自動車メーカー各社が1日に発表した米国の第2・四半期新車販売台数は、通常であれば自動車業界にとって厳しい環境となるはずの条件下でも、底堅い結果となった。
米国の消費者は今春以降、ガソリン価格の高騰やインフレ再燃、雇用不安、イラン情勢を巡る動揺などに直面してきた。調査会社オムディアによると、それでも上半期の米新車販売台数は前年同期比で3%の減少にとどまった。
第2・四半期の販売台数はゼネラルモーターズ(GM)が前年比4%減となったものの、ピックアップトラック「GMCシエラ」や、より手ごろな価格の「ビュイック・エンビスタ」などは増加した。ステランティスは6%増加。ガソリン高にもかかわらずピックアップトラック「ラム」の販売が好調だった。
トヨタ自動車は1%、現代自動車は4%、それぞれ増加。ハイブリッド車(HV)が販売を押し上げた。
現代自動車の北米法人プレジデント、ランディ・パーカー氏は、需要に対応するためジョージア州の工場でHV生産を「ワープスピード」で進めていると語った。
ディーラーやアナリスト、経営幹部らは、米自動車市場を安定させている複数の要因を挙げる。インフレやガソリン価格上昇の影響を受けにくい富裕層が、新車販売に占める割合が高まっている。
一方、調査会社JDパワーによると、借り入れコストがここ数カ月でやや低下しており、コスト圧力の高まりを買い手側が相殺するのに役立っている。ガソリン価格高騰を避けるためHVに流れる買い手も増えており、全体の販売台数を下支えしている。
コックス・オートモーティブのシニアエコノミスト、チャーリー・チェスブロウ氏は「新車市場は、イラン戦争と原油・燃料価格の大幅な上昇をほぼ意に介していない」と述べた。
<K字型経済が販売を牽引>
景気循環に敏感な自動車市場は、歴史的に戦争やエネルギーショック時に縮小してきた。例えば、2003年の米国によるイラク侵攻後の数カ月間や、ガソリン価格が初めて1ガロン=4ドルを超えた08年には販売が落ち込んだ。
ディーラーやアナリストによると、現在は富裕層の買い手が米自動車市場を支え続けている。低所得者が苦境に陥る一方、高所得の消費者は高額商品への支出を続ける「K字型経済」の一例だ。
S&Pグローバル・モビリティによると、世帯年収10万ドル以下の買い手が新車販売に占める割合は25年に36%となり、20年の51%から低下した。
JDパワーによると、6月の米新車の平均取引価格は前年比1%上昇して約4万6400ドルとなった。ただ、ピークからは低下している。
一方、消費者は新車ローン金利の低下から一定の恩恵を受けている。JDパワーによると、6月の平均金利は約0.33ポイント低下して6.66%と、過去4年で最低となった。
米消費者は月々の支払い額を抑えるためローン期間の長期化も続けている。エドマンズによると、第2・四半期には84カ月以上のローンを組んだ購入者の割合が過去最高の24%に達した。こうしたローン期間の長期化により、より多くの人々が新車を買えるようになっている。
<HVがガソリン高騰回避の一助に>
ガソリン価格の高騰はまだ米国で電気自動車(EV)革命を引き起こしていないものの、コックス・オートモーティブによると、一部の買い手の間で燃費の良いHVを探す動きにつながっている。
同社の調査では、買い手の56%がガソリン価格の上昇によりHVの検討に前向きになると回答した。オムディアによると、上半期のHV販売は前年比19%増加した。
現代自動車の上半期の電動車販売(バッテリーEVとHV)は、同社の総販売の33%を占めた。第2・四半期のHV販売は71%増加した。トヨタでは同四半期の電動車販売が約20%増加し、総販売の57%を占めた。
一方、HVを販売していないGMは、バッテリーEVの販売が33%減少した。
コックスのアナリストは、HVのトレンドによりトヨタが今年、米販売首位の座をGMから奪う可能性があるとみている。トヨタが前回GMを上回ったのは21年で、GMはほぼ1世紀ぶりに米国内首位の座を明け渡した。GMの第2・四半期販売台数は134万台で、トヨタの124万台を依然として上回っている。