Lewis Krauskopf

[ニューヨーク 30日 ロイター] - 2026年下半期の米国株式市場は、上昇相場を維持する上でさまざまな試練に直面している。具体的には人工知能(AI)投資は持続可能か、また企業利益の高いハードルが達成されるか、そしてケビン・ウォーシュ新議長の下での米連邦準備理事会(FRB)の政策金利がどう推移するのか、といった問題が挙げられる。

足元のS&P総合500種は年初来で8%超上昇し、3年を超える強気相場が継続している。ハイテク株比率の高いナスダック総合の上昇率も11%だ。しかし6月になって両指数が反落するなど、最近は投資家の間で不安が広がる兆候が出ている。

下半期に米国の株式投資家が向き合う主な課題は以下の通り。

◎AI投資のテーマは市場をけん引し続けられるか

AIインフラへの巨額投資は相場上昇の中核で、多くの企業の利益予想を押し上げてきた。JPモルガンによると、マイクロソフト、グーグル親会社アルファベット、アマゾン・ドット・コムを含む巨大テック5社は、今年の設備投資額が合計で約7300億ドルに達する見込みだ。

コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツの北米株式責任者を務めるニコラス・ジャンビエ氏は「現在見られるレベルの設備投資が当面の間続くということは、確実に市場に織り込まれている」と述べた。

ただ一部の投資家は、ハイパースケーラーと呼ばれるこれら巨大テックが投資に対して十分なリターンを示す必要があるのではないかと警戒している。一方でAI主導の楽観論は半導体株の急騰を招くと同時に、データセンターの構築や電力供給に関連する他のハイテク株、資本財、エネルギー株も押し上げた。

ナティクシス・インベストメント・マネジャーズ・ソリューションズのポートフォリオストラテジスト、ギャレット・メルソン氏は「市場の観点からのリスクは、これらの取引にテクニカルな資金が集中し過ぎていることだ。シナリオに疑念の種が少しでも生まれれば、やや脆弱な立場に置かれることになる」と警告した。

◎米企業は高い利益期待に応えられるか

米企業の力強い第1・四半期決算も株高を後押ししており、今後も利益が好調を維持すると予想される。LSEG IBESによると、26年のS&P総合500種企業の利益は前年比26%超増加する見通しだ。

DWSのデービッド・ビアンコ米州最高投資責任者は「主な疑問はS&P総合500種全体、そしてハイテク関連セクターに期待されている利益を実際に達成できるかどうかだ。これに関してはいかなる言い訳も通用しない」と指摘した。

もっとも企業利益はハイテクやAI関連だけが突出しているわけではない。26年にはS&P総合500種の全11セクターで増益が見込まれ、ジャンビエ氏は「AIが話題を独占しているものの、個人消費も堅調だ」と説明した。

◎市場は巨大IPOを消化できるか

最近のスペースXの新規株式公開(IPO)に続き、今後AI企業のアンソロピックやオープンAIのIPOが予想され、投資家にとって新たな投資対象となる注目企業の波が押し寄せている。

ただこれら巨大なIPOによって市場が吸収すべき多額の株式発行が生じる可能性がある。ビアンコ氏は「これはリスク許容度と流動性のテストであり、どれだけの待機資金が残っているかが問われている」と語った。

◎新体制のFRBはインフレにどう対処するか

ウォーシュ氏が新たに議長となったFRBが最初に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)は、政策立案者がインフレ抑制に焦点を当てる中で、近い将来の利上げの可能性を示唆するタカ派的な姿勢を打ち出し、投資家の不意を突く形となった。

こうした金融政策姿勢を受けて金利が上昇すれば、株式に対して債券の投資妙味が高まる面がある。

BCAリサーチのチーフ米国株ストラテジスト、ノア・ワイズバーガー氏は「(米国株の)バリュエーションは正当化できると考えている。しかしそれは市場が金利の再評価に対して脆弱ではないという意味ではない」と述べ、株価にとっての金利上昇リスクに言及した。

◎中間選挙は株式市場に影響を与えるか

今年これまで議会中間選挙は市場にとって二の次となっていたが、11月の投開票が近づくにつれて、政治関連のボラティリティーが高まる恐れが出てくる。

CFRAがまとめた1945年以降のデータによると、中間選挙の年は4年の選挙サイクルの中で平均して年間の最大下落率(ドローダウン)が最も大きく、S&P総合500種は平均18%下落している。また中間選挙の年の第3・四半期は平均してマイナスの値動きを記録してきた。

ナティクシスのメルソン氏は「中間選挙の年は、選挙に至るまでの間に多少の混乱が生じやすいのは間違いない」と話した。

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