Hannah Lang
[30日 ロイター] - 暗号資産(仮想通貨)関連企業が11月の米議会中間選挙に影響を与えるためこれまでに支出した金額は1億8900万ドルに上り、2024年の大統領・議会選の選挙時期における支出額を上回っている。消費者擁護団体パブリック・シチズンが、ドナーから資金を集めて候補者の選挙・政治活動に寄付する政治活動委員会(PAC)による支出を追跡してまとめた最新の報告書で明らかになった。
報告書に基づくと、中間選挙とそれに向けた予備選挙に寄付された企業献金全体の3分の1超が暗号資産業界からで、同業界は企業の政治献金拠出元として最大の存在になっている。
暗号資産業界からの企業献金は24年の選挙時期でも最も多い1億7000万ドルに達し、同業界が後押しした多くの連邦議会候補者が当選を果たした。
また人工知能(AI)、巨大テック、オンラインベッティング分野の企業も多額の寄付を行っている。これらに暗号資産を加えると、今年の選挙に向けてこれまでに合計2億9400万ドルが拠出された。
パブリック・シチズンの調査ディレクターで報告書を執筆したリック・クレイプール氏は「企業マネーが選挙においてかつてないほど大きな役割を果たしており、それがさらに拡大しているということがはっきり読み取れる」と述べた。
報告書によると、企業政策の推進に焦点を当てたPACへの主要な献金者トップ4は、暗号資産に多額の投資を行っている大手ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ、フィンテックのリップル・ラボ、クリプト・ドット・コム系列のフォリスDAX、暗号資産交換所大手コインベースだった。
暗号資産業界は24年に行った多額の献金を通じて、「プロ・クリプト(暗号資産推進)」法案を支持する議会を誕生させるなど、それなりの政治的な成果を得ている。その資金の多くは、候補者には直接渡せないが特定候補の応援広告などに無制限の支出が可能な「スーパーPAC」からもたらされており、この傾向は今年も続く見通しだ。
パブリック・シチズンによると、暗号資産推進派の候補者を支援することに特化した主要なスーパーPACの「フェアシェイク」は、今期に8200万ドルの寄付を受け取った。
米議会は既にドルなど法定通貨に連動させて価値安定を図るデジタル通貨「ステーブルコイン」の連邦枠組みを作成する法律を可決。支持者らはこれがステーブルコインのより広範な普及を促進するはずだと述べている。この法案は下院と上院の両方で超党派の支持を得た。
暗号資産業界はさらなる措置を求めており、その中には暗号資産の規制を定める「クラリティー法」と呼ばれる法案も含まれている。暗号資産企業はこの法案が米国のデジタル資産の未来にとって極めて重要で、業界の根本的な問題を解決するために必要だとしている。
同法案は現在上院で停滞しており、野党民主党が下院の主導権を握ると予想される中間選挙前に可決されるかは不透明。アナリストらは、もし上院で年内に法案が通過しなければ、近い将来に成立する公算は乏しいとみている。多くの民主党議員は、トランプ大統領を含む政治家が暗号資産事業から利益を得るのを防ぐための対策が不十分だとの懸念から、この法案に反対しているためだ。