Deena Beasley
[30日 ロイター] - 米連邦議会の超党派議員は、製薬大手の米メルクとアッヴィが中国の軍事力増強につながる臨床試験(治験)に関与していたかどうかを調べる安全保障上の調査を開始した。両社の最高経営責任者(CEO)に宛てた書簡をロイターが入手した。
米下院中国特別委員会のムーレナー委員長らの議員グループは29日付の書簡で両社に対し、中国国内の臨床試験施設、特に新疆ウイグル自治区と軍の病院でのデューデリジェンス(適正評価)やデータ保護手続き、その他の基準に関する詳細を7月17日までに提供するよう求めた。
メルクは患者の安全と倫理的な誠実さは同社の臨床研究計画の優先事項であり、全ての国際的な指針に従っていると述べた。アッヴィはコメントを控えた。
在米中国大使館の報道官は電子メールで、同委員会の行動には「信頼できる根拠は何もない」とし、中国は貿易・技術問題を政治問題化する動きに反対すると表明した。
書簡は新疆ウイグル自治区がウイグル族など少数民族・宗教的少数派を標的とした中国政府による「ジェノサイド(民族大量虐殺)」の中心地だと指摘。治験参加者からのインフォームドコンセント(説明と同意)取得における不備を中国の研究者が報告していると言及した。
「規制改革、国家補助金、(良く言っても)疑わしい倫理観が相まって、中国は初期段階のヒト臨床試験を世界で最も安く迅速に実施できる場所へと変貌を遂げた」とした。
「(両社が)違法行為や不正に関与したという証拠はない」としつつも、「中国で臨床試験を実施することは、米国企業を倫理的・安全保障上のリスクにさらす」と指摘した。また「中国軍の病院で研究を実施することは、米国企業が持つ最先端のバイオテクノロジー関連の知的財産が中国軍へ流出する潜在的リスクにさらす」と警鐘を鳴らした。