Aditya Soni Anhata Rooprai
[29日 ロイター] - 米通信・メディア大手コムキャストは、傘下のNBCユニバーサルと英有料テレビ大手スカイの分社化により、2社の上場企業に分割すると発表した。収益性の高いブロードバンド事業を、ストリーミング各社との競争激化や業界再編の圧力にさらされているメディア・エンターテインメント事業から分離する。
分割は約1年で完了すると見込まれる。コムキャストはケーブル、無線事業、法人向けサービス事業などを核とする一方、分社化されるNBCユニバーサルにはテーマパーク、映画・テレビスタジオ、テレビ放送局「NBC」、欧州メディアのスカイが含まれる。
コムキャストのブライアン・ロバーツ会長兼最高経営責任者(CEO)は、「今回発表する取引は、より起業家精神に富んだ経営手法を可能にするとともに、各事業にとって数多くの新たな機会を切り開くものとなる」と述べた。
ロバーツ氏は分割後も両社の経営に「積極的に関与」するとしている。同氏は議決権が優遇された種類株を通じてコムキャストの議決権の約3分の1を握っており、NBCユニバーサルも同様の二重株式構造を維持するため、その支配力は引き継がれる見通し。
コムキャストのマイク・カバノー共同CEOが新生NBCユニバーサルを率い、コムキャストは元最高財務責任者(CFO)のマイケル・アンジェラキス氏が分社化に先立ち戦略顧問として復帰した後、CEOとして経営を担う。
取引完了後、コムキャストの株主は両社の株式を保有することになる。分社化後も、親会社のコムキャストは最長1年間、NBCユニバーサルの株式を最大19.9%保有し、時間をかけて現金化する計画。
アナリストは、今回の動きでNBCユニバーサルが魅力的な買収対象になる可能性があり、特にワーナー・ブラザースの買収争いに敗れた動画配信大手ネットフリックスにとって魅力的になると指摘する。ただ、いかなる取引もコムキャストが900億ドルを超える負債をどう配分するかに左右される見通しという。
調査会社イーマーケターのシニアアナリスト、ロス・ベネス氏は「NBCユニバーサルは最終的にM&A(合併・買収)の標的になるだろう」とした上で、「ネットフリックスはスタジオに関心を持つ可能性が高い。ただ、同社がメディア企業全体の買収を目指すとは予想していない。NBCユニバーサルがスタジオを残りのメディア事業から分離するもう一段の分割に応じるかどうかも不透明だ」と述べた。
一方、コムキャスト幹部は電話会議でM&Aの可能性について「全くない」と否定。「今回の措置は各社が価値を創出し、資産を完全に現金化し、独自のオーガニックな成長戦略を積極的に追求できる最も強固な立場に置くための正しい一手だ」と説明した。
コムキャストのスタジオ事業にはユニバーサル・ピクチャーズ、ドリームワークス・アニメーション、フォーカス・フィーチャーズが含まれる。