Shashwat Chauhan
[29日 ロイター] - 暗号資産(仮想通貨)を主要資産として保有することで知られる米ストラテジーの企業価値が26日、初めて保有ビットコインの価値を下回った。これは、マイケル・セイラー氏が設立した同社が長年続けてきた暗号資産への賭けに対する投資家の信頼を揺るがす恐れがある重大な事態とみられている。
投資家の注目が集まっているのは、同社の「mNAV(純資産価値倍率、企業価値が保有ビットコインの価値の何倍で評価されているかの指標)」だ。フォン・リー最高経営責任者(CEO)は昨年後半、mNAVが1を下回った場合にはビットコイン売却を検討する可能性があると言及していた。
同社ウェブサイトによると、26日取引終了時点でのmNAVは0.99だった。
ところが29日の同社株価は4.9%上昇した。同社が自社株買いプログラムを発表し、最大12億5000万ドルのビットコイン売却を承認したことで、流動性の余力を確保した動きが好感された。
コイン・ビューローの創設者でクロスアセット・アナリストのニック・パクリン氏は「これはセイラー氏による責任ある動きで、市場は前向きな進展と受け止めている」と述べた。
26日終値時点でストラテジーの株価は2年余りぶりの安値で取引されており、ナスダック100銘柄の中では年初来の値動きは下から2番目に低迷していた。
マーケットメーカーDWFラボのマネジングパートナー、アンドレイ・グラチェフ氏は「ここからは2つの道がある。ストラテジーがビットコインの売却を開始するか、あるいは株価が十分に下落して、誰かが支配権を得て市場価格を下回る価格でビットコインを手に入れる目的で株を買い取るかだ。いずれにせよ、真剣な投資家にとってはその不確実性自体が様子見の理由となり、今のところ資金は暗号資産ではなく人工知能(AI)に流れている」と指摘した。
ストラテジーの26日終値時点の時価総額は295億4000万ドルで、2024年に記録した史上最高値の710億ドル超から半分以下に減少した。株価は今年これまでに45%余り下落している。
5月5日に発表された第1・四半期決算では、多額の暗号資産保有の価値を押し下げたビットコイン価格の下落が響き、赤字幅が拡大した。
同社ウェブサイトによると、直近のビットコイン保有数は84万7363BTCで、28日のビットコイン終値5万9577.82ドルに基づくと、約504億ドルの価値がある。