Mark Trevelyan
[ロンドン 23日 ロイター] - ロシア政府は、昨年8月の米西部アラスカ州での米ロ首脳会談で合意された「了解事項」をトランプ米政権が履行していないと非難している。高官3人がわずか3日の間に具体的な内容には触れずに批判し、ロシア側のいら立ちを示唆している。
これらの発言の背景には、戦闘を繰り広げているウクライナがロシア内陸部へのドローン(無人機)攻撃を激化していることがある。先週にはモスクワの製油所を2回攻撃した。フランスでの主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、ウクライナのゼレンスキー大統領が戦況を好転させつつあると語った。ロシア側はこれを否定し、ウクライナへの激しい攻撃を続けている。
ロシアのウシャコフ大統領補佐官は21日、合意を順守し続けているのは一方だけであり、「もう一方は現時点では、自らの役割を十分に果たせていないようだ」と批判した。
続いてラブロフ外相は23日、アラスカでの首脳会談が「ウクライナの再軍備のための時間を稼ぐための米国の策略」だったようだとの見方を示した。
インターファクス通信によると、リャブコフ外務次官も米国がアラスカで合意された「基本的な理解」から逸脱したと非難した。ただ同氏は米国との対話を続けるとも表明したという。
RIA通信は、リャブコフ氏がG7サミットについて「米国の路線は、最も親密な欧州の同盟国の英国やフランスが追い求める最も過激な反ロシア政策に近づきつつあるとみている」と語ったと伝えた。
オーストリアのアナリストで、長年にわたりロシアのプーチン大統領を観察してきたゲルハルト・マンゴット氏は、ロシアでのウクライナによる攻撃が急増していることを踏まえて「ロシア経済と軍にとって極めて深刻な状況」に対するロシアの不安を反映しているとの見方を示した。同氏は、ロシアはこうした攻撃が米国の支援を受けていると確信していると指摘した。
その上で「プーチン氏は国民に目に見える形で、手札がまだ残されていることを示す対応を講じる必要がある」と語り、ロシアがウクライナとの戦闘を激化させる一方、トランプ氏を再び味方に付けようとすると予測した。
プーチン氏は23日、最近のウクライナによる攻撃について「西側諸国全体」がウクライナのために動いていると批判した。
国際危機グループ(ICG)のアナリスト、オレグ・イグナトフ氏は、イラン攻撃後に米国のウクライナ戦闘の仲介努力が見られず、米国の関心が移ったことにロシアは落胆していると表明。ロシアが自らの条件で戦闘を終結させるのを米国が支援することを望んでいるものの、「体系的な外交プロセスはなく、交渉のテーブルには何の案も載っておらず、実際には何もない」とし、「ロシア側はこの事実に非常に失望しており、米国が関与することを強く望んでいる」との見解を示した。