双方が時間を買うための合意
国務省で中東政策に携わった経験を持つバージニア大学ミラーセンターのマラ・ラドマン上級フェローは、ホルムズ海峡の海上交通が実際に再開され、イラン核問題をめぐる交渉が前進して初めて、「合意の成果の本当の証拠になる」と指摘する。
さらに、今回の枠組みが将来的により実質的な合意へ発展したとしても、米国は過去より不利な立場に置かれていると主張する。
「米国はイランの核を破壊するためと称して莫大な軍事力と資源を投入した結果、今になってイランのウラン濃縮能力を削減または廃止するため長期間にわたって交渉するとしている」と、ラドマンは述べる。
「もしトランプが2018年に前回の合意から一方的に離脱していなければ、2030年ごろまで残っていたJCPOAの制約の下で、米国ははるかに有利な立場でイランの核開発を抑え込めたはずだ」と、ラドマンは言う。「トランプ大統領がそれを認めるかどうかにかかわらず、世界はそのことを理解している」
米国とイランには、より包括的な合意を先送りにしてでも停戦延長を優先する理由がある。
国際危機グループ(ICG)のイラン・プロジェクト責任者アリ・バエズは本誌に対し、「米国とイランの当面の目標は、傷を癒やすことではなく出血を止めることだ」と語った。
「米国はホルムズ海峡の航行再開を望み、イランは具体的な経済的救済を求めている。今回の覚書は状況を安定させ、双方に時間を与える役割を果たすだろう」
バエズはさらに、「たとえ限定的な合意であっても、湾岸地域の緊張を和らげ、海上貿易の再開につながり、より広範な安全保障対話の余地を生み出す可能性がある」と指摘する。