卓球用語「擦辺球」は生活の知恵
問題は、その大半が違法か違法ぎりぎりのグレーゾーンだとみられることだ。
卓球で台の角ぎりぎりに打ち込む「エッジボール」を中国語で「擦辺球(ツァービエンチウ)」と呼ぶが、これは規制や法律ぎりぎりの行為を指す言葉でもある。中国人にとって、グレーゾーンを攻める擦辺球は生活の知恵であり、金儲けの常套手段でもある。
しかし、国際送金におけるグレーゾーンは今後、狭まっていくはずだ。警察庁と日本の大手9銀行は5月下旬、特殊詐欺対策で連携を強化すると発表した。これにより、今まで数日から数週間かかっていた口座情報の照会がオンラインで即座にできるようになり、不正に送金された金銭の移動を追跡しやすくなる。
日本はマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金を監視する国際機関FATF(金融活動作業部会)のランク付けで、前回21年に「マネロンに甘い国」と評価された。特殊詐欺の被害も広がるなか、次回28年に行われる審査での名誉挽回に向け、国際送金の管理を厳格化していくとみるのが自然だろう。
一方、中国や香港の捜査当局も越境資金の対策に動き出しているらしい。
擦辺球を打っているつもりのウィーチャット送金サービス業者は、悪いことをしているという意識が薄く、危機感もないだろう。しかし、そもそもこのサービスは擦辺球ではなく、れっきとした犯罪だ。
たとえ意図的ではなかったとしても、犯罪の片棒を担ぐことにもつながりかねず、そうなれば予想もしなかった代償を支払うことになる。簡単に儲けられるからといって、安易に手を出すべきではない。