<違法ぎりぎりのグレーゾーンを狙い、「擦辺球(エッジボール)」を打つ傾向のある中国人。国際送金の手段が変わるなかで、新たな「マネロン」が生じている>

テーブルの上に積まれた数百万円、数千万円の札束。そんな写真が私のウィーチャット(微信)には頻繁に流れてくる。

送信元は国際送金サービス業者。「わずか1秒で、銀行より安く国際送金ができます」といったうたい文句で利用者を獲得している。ウィーチャット上で日本円を受け取り、人民元で中国の指定口座に振り込む「地下銀行ビジネス」である。

■WeChatで出回る国際送金サービス業者の実際の写真を見る

5月下旬、銀行法違反(無免許営業)容疑で、中国籍の36歳の女が京都府警に逮捕された。報道によれば、2024年12月から25年11月にかけ、日本在住の中国人3人から依頼を受け、計約1230万円を中国の口座に振り込んだという。

3年ほど前から運営を始めた地下銀行を通じ、これまで6000万円近くを中国に送金し、手数料で稼いでいたとみられている。

今回、依頼者の1人が別の事件で有罪判決を受けた匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の一員だったことで違法送金の事実が明るみとなり、女の逮捕につながった。だが、こうした国際送金で儲けている中国人は1人や2人ではないだろう。

海外への出稼ぎが多い国では、外国で稼いだお金を自国の家族へ送るのはごく一般的だが、中国も例外ではない。国にとっては重要な外貨獲得手段でもあり、世界銀行によれば中国への送金額は年間で約314億ドルに上る。

そしてテクノロジーの進歩により、かつては銀行や市中の専門業者に頼むしかなかった国際送金も、今ではスマホ一つでできるようになった。そんなわけで、家族への送金を手助けするビジネスだとうたうウィーチャット送金業者らは引く手あまたなのだ。参入する者が増えるのは必然と言えるだろう。

卓球用語「擦辺球」は生活の知恵