Michael S. Derby
[ニューヨーク 4日 ロイター] - 米ボストン地区連銀が4日発表した最新の研究論文で、米国人のエネルギー使用方法が変化したため、連邦準備理事会(FRB)は金融政策運営の焦点を、中東での戦争に伴う原油高騰ショックがもたらすインフレへの影響に絞れるようになるはずだとの見解が示された。
同行のエコノミストらは、エネルギー効率の向上と国内生産の拡大を背景に、米国の世界経済に対する脆弱性は1970年代からは「根本的に」変化したと説明した。
これらの変化は、原油高騰がインフレに与える影響が過去に比べて小さくなっていることを意味する。一方で、国内のエネルギー生産が増加し、原油高が同部門の雇用を促進して、かつて発生していたような雇用喪失も相殺するようになっているという。
ところが雇用市場への打撃が以前より抑制されている点から、エネルギーショックに伴う広範な雇用喪失から通常生じるディスインフレ効果も弱まり、インフレ圧力が従来想定されるよりも高くなる可能性が浮かんでくる。
同行のエコノミストらは「オイルショックに対する米国経済の脆弱性は根本的に変化した。それは解消されたのではなく、再構成された。これらの知見からは、金融政策が雇用への影響ではなく、オイルショックに関連するインフレへの影響により重点を置くべきであることが読み取れる」と記した。
この分析に基づくと、現在のショックは注目に値するものの、これまでのところ経済的影響は1973年から74年にかけての石油輸出国機構(OPEC)による石油禁輸措置や、1978年から80年のイラン・イスラム革命よりも小さい。またエコノミストらは「オイルショックによる総雇用への影響が減少したことで、1970年代を特徴付けたインフレと失業のスタグフレーション的なトレードオフが発生する可能性が低くなった」と指摘した。
16─17日に予定される連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の誘導目標が現行の3.50─3.75%に据え置くことが決定されるのはほぼ確実とみられている。
足元では金利を維持しつつ、戦争が長期的した場合に物価圧力にどのような影響を与えるかを見極める方針で政策担当者は一致している。
ただ一部では、もしインフレが沈静化し始めなければ年内に利上げが必要になる可能性があるとの意見も出始めており、今回のボストン地区連銀の論文は、そうした道筋が雇用市場に顕著な痛みをもたらさない可能性を示唆している。