Nazih Osseiran Sarah El Safty Timour Azhari
[2日 ロイター] - カタールを拠点とする流通会社サラム・ストゥディオ・アンド・ストアーズは、イラン紛争が始まって1カ月が経過した時点で既にエナジードリンク「レッドブル」の定期的な入荷が何週間も途絶えていたため、それまでほとんど使われていなかった輸送経路の検証に踏み切った。
紛争開始とホルムズ海峡の事実上の封鎖から4カ月が経過した現在、サラムが通常使用しているペルシャ湾岸の物流拠点はイランによる攻撃と輸送能力の制約に直面する一方、同社が発注した商品はインドやスリランカに滞留したままとなっている。
サラムは市場シェアを失う不安から、未検証の解決策を選択した。その解決策とは、紅海沿岸にあるサウジアラビア北西部のNEOM(ネオム)港を経由して貨物をドーハへ輸送する方式だ。
サラムの流通ディレクター、アダム・ムーラ氏によると、同社は当初、欧州からネオム港を経由したペルシャ湾岸への経路を試すため、トラック1台分の貨物を発注した。この経路は複数の海上区間と複数の陸上区間から成る。
同氏は、この経路での輸送は「通常よりも所要時間は短縮された」が、コストは大幅に増えたと指摘。所要時間は22日間で、通常の欧州からペルシャ湾岸への輸送の半分程度で済んだという。
この結果に勇気づけられ、同社は1回当たり約1万ドルのコストを支払い、トラック15台分の輸送を追加発注した。イラン紛争前には、この区間の海運運賃は約2500ドルだった。追加のコストは、港湾手数料よりもディーゼル燃料と保険料金の値上がりを反映している、とムーラ氏は語った。
ネオムは約10年前に発表された未来都市構想の中心地で、ムハンマド皇太子が構想を主導したが、コストが想定を超えたため規模が縮小された。ネオム港は現在、比較的迅速な物流を可能にする輸送経路の一部と位置付けられている。
ネオム港はリンクトインの公式ページに「欧州-エジプト-ネオム-ペルシャ湾岸を結ぶ迅速輸送の経路」と投稿し、ペルシャ湾岸6カ国の市場への物流を加速するための海上・トラック輸送をつなぎ合わせた経路と説明。既に欧州数カ国の輸入業者がこの経路を利用していると付け加えた。
ただ輸送データでは、ネオムが担う役割は限定的にとどまっていることが示されている。調査会社ケプラーのデータによると、ネオム港の発着はトラックが船内に乗り込むロールオン・ロールオフ船(RORO船)が大半を占め、4月時点ではコンテナ船の輸送実績は皆無だった。同港における輸送実績は95%が2隻に集中しているという。
ケプラーは「ネオムは依然としてニッチにとどまっている。RORO船が中心の港湾として安定しているが、活動は限定されている」と指摘。イラン紛争開始以降、経路変更に伴い輸送量が急増する兆候はなかったと補足した。
サラムにとっては、サウジアラビアの紅海沿岸の主力港であるジェッダが混雑していることで、ネオムが魅力的になっている。ムーラ氏は「企業がネオム港を選んでいるのは、全く混んでいないためだ」と語った。