Chen Aizhu Sam Li
[シンガポール/北京 2日 ロイター] - 中国では各製油所が原油輸入の削減を進め、その代わりに記録的高水準にある原油在庫を本格的に取り崩す見通しだ。背景には、燃料需要が低迷する中で価格が高い原油を購入して精製しても赤字になる構図がある。複数のアナリストや業界関係者が明らかにした。
データ分析会社ケプラーによると、5月の海上経由の原油輸入量は、4月の日量810万バレルから、この10年間で最低となる日量645万1000バレルまで減少する可能性がある。また船舶追跡会社ボルテクサは、5月の輸入量を日量700万─750万バレルと推定している。これに先立ち、中国の4月の原油輸入総量は前年同月比20%減の日量930万バレルに落ち込んだ。
ボルテクサとケプラーの調べでは、そうした輸入の減少を補うため、製油所は過去3週間にわたって日量約100万バレルのペースで民間在庫を取り崩している。在庫水準は5月上旬に約12億5000万バレルでピークに達していた。
コンサルティング会社ライスタッド・エナジーのシニアアナリスト、イェ・リン氏は「中国は供給が逼迫した市場で強気に買いを入れるのではなく、在庫を段階的に減少させている。精製マージン(利幅)が大幅なマイナスになっていることを考えれば、この選択は理にかなっている」と述べた。
ボルテクサのリード・チャイナ・アナリスト、エマ・リー氏は、輸入がさらに減少するのに伴って、国有製油所が在庫の取り崩しを加速させると予想する。
リー氏の話では、独立系製油所やトレーダーによるロシア産およびイラン産原油の大量購入に加え、大手製油所が3月から減産に踏み切った結果、民間在庫は今年最初の4カ月間で約7000万バレル増加している。
リー氏は、たとえ在庫の取り崩しペースが日量200万バレルに加速したとしても、2025年初頭から積み増された2億バレル超の在庫は、9月中旬まで維持するのに十分だと付け加えた。
トレーダーらは、原油価格が1バレル=100ドル近い水準で推移する状況において、中国の製油所は開戦前の大量の備蓄のおかげで、短期的には買い付けを休止する余裕があると指摘する。
一方で中国政府が価格高騰から消費者を守るために国内の小売価格を抑制しているため、中国の製油所は処理する原油1トン当たり、油種に応じて600元から1300元(88.74-192.26ドル)の損失に直面している。
こうした中で、精製能力で世界最大の中国石油化工(シノペック)を筆頭とする大手国有製油所や、独立系最大手の浙江石油化工は、少なくとも6月までは稼働抑制を維持する方針が伝えられている。
製油所関係者やアナリストは、「ティーポット」と呼ばれる中小の独立系製油所も、政府から稼働を下げるなとの指示があるにもかかわらず、6月以降も稼働削減を迫られる圧力が高まっていると述べた。
最近山東省の精製拠点を訪れた関係者は、同省の複数のティーポットが3月と4月に積み増した原油在庫を使い切った後、処理量を削減または停止する準備を進めていると明かした。
需要の低迷を反映し、中国のコンサルティング会社オイルケムが追跡しているガソリンと軽油の民間在庫は、それぞれ24年初頭および24年7月以来の高水準となっている。
アナリストの分析では、電化に伴うガソリンの需要消失は予想以上に深刻化しており、燃料価格の上昇を通じて公共交通機関の利用を増やすなど、人々の行動にも持続的な変化が生じている。