5月19日の昼頃に中国・上海にある日本料理屋で発生した刺傷事件。日本人2人を含む3人が負傷した事件について、中国外交部報道官の郭嘉昆(クオ・チアクン)は5月20日に行われた定例記者会見の中で、日本人を狙った意図的なものだったのかという質問に対する明確な回答は避けつつ、「単発的な事件」だったと強調した。

【動画】血が出ている腹部を押さえて地面に座り込む…事件直後の緊迫した現場の様子

また、犯人に「精神疾患があった」と、現地警察当局の主張をなぞるように述べたほか、「関係当局が法に基づき捜査、処理を進めている」と説明するにとどめた。

拘束された59歳の男の言動は混乱しているということからも、事件の真相解明にはまだ時間がかかりそうだが、問題は郭報道官の「都合がいい」ように聞こえるコメントだ。


 

事件は5月19日の昼頃、上海市内中心部にある、森ビルが運営する101階建てのs豪業ビル、上海環球金融中心内の日本料理屋で起こった。刃物を持った59歳の男が店内に押し入り刃物を振り回し、3人を負傷させた。3人とも命に別状はないという。

在上海日本国総領事館は5月20日、日本政府が中国政府に対し、真相解明と明確な説明、厳正な処罰、類似事件の再発防止、邦人の安全確保を申し入れたとしたうえで、在留邦人に対し、安全対策を十分にするように呼びかけを行った。

また、木原稔官房長官も在外公館および外務省から中国側に対し、真相解明と明確な説明、容疑者への厳正な処罰、類似事案の再発防止、邦人の安全確保を申し入れたと発表した。

ちなみに、郭は定例記者会見の中でこの事件について、「一部のメディアや個人が、不当な誇張報道を行ったり、根拠のない煽りや関連付けをしたりしないよう強く求める」と注文を付けた。

しかし、中国は高市早苗首相の台湾有事発言後、「日本は社会不安の時期を迎えており、中国人に対する犯罪や襲撃事件が急増している」「日本の指導者たちは台湾に関して露骨な挑発的な発言を繰り返しており……在日中国人の身の安全と生命に重大な危険をもたらしている」と主張し、日本への渡航を自粛するよう呼び掛けるなどしていた。この主張は外務省が警察庁のデータを引用しつつ明確に否定しているものの、中国は自身の「根拠のない煽りや関連付け」を取り下げていない。
 

『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』 ニューズウィーク日本版独占試写会 90組180名様ご招待
『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』 ニューズウィーク日本版独占試写会 90組180名様ご招待
PR
【動画】血が出ている腹部を押さえて地面に座り込む…事件直後の緊迫した現場の様子
【関連記事】