Takahiko Wada

[福岡市 21日 ロイター] - 日銀の小枝淳子審議委員は21日、中東情勢の緊迫化を受けて基調的なインフレ率が「今後2%を超えてくる可能性もある」と指摘。今後は政策金利を「適切なペースで引き上げて、経済へのトレードオフにも配慮しつつ、物価高への対応を進めていくことが適切だ」と述べた。福岡県金融経済懇談会であいさつした。

小枝委員は4月の金融政策決定会合で、政策金利の据え置きに賛成した。同じく賛成した増一行委員が14日の講演で、中東情勢の緊迫化に伴い景気下振れの兆しが「はっきりとした数字」で表れないのであれば「できる限り早い段階での利上げが望ましい」と述べ、早期利上げに前向きな姿勢を示したことから、小枝委員の見解が注目されていた。

小枝委員は、基調的なインフレ率は「既に2%ぐらいになってきている」と指摘した上で、「原油高が長期化してしまうリスクシナリオの可能性にも十分注意する必要がある」と述べた。企業の価格転嫁のペースが「数年前より早い可能性は相応にある」とも話した。

また、実質金利が非常に低いことがもたらす弊害にも触れた。小枝委員は、グローバルなIT需要の強さや政府の各種施策の効果を考えると、現時点で「世界金融危機やコロナ禍のような景気の大幅な落ち込みが、見通し期間で生じる蓋然性は低い」とした上で、景気が大きく落ち込まないことを前提にする場合には「実質金利のさらなる低下がもたらす副作用をより意識する必要がある」と述べた。

日銀のバランスシートについては「柔軟性を確保しつつも、予見可能な形で粛々と正常化を進めることが必要」と述べた。ただ、6月の金融政策決定会合で議論する国債買い入れ減額のあり方については「別の機会で改めてお話ししたい」とするにとどめた。

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