James Davey
[ロンドン 20日 ロイター] - 英政府は20日、スーパーマーケットへの強制的な販売価格上限設定を否定した。ただイランでの戦争などに起因する生活費高騰の圧力を緩和する方法について、業界と協議中だと明らかにした。
今月の統一地方選挙で与党労働党が大敗し、辞任圧力が強まっているスターマー首相は、各省庁に対して物価上昇から家計を守る措置を講じるよう促している。
しかし価格上限設定の提案は業界の激しい反発を招き、小売り大手マークス・アンド・スペンサー(M&S)のスチュアート・マチン最高経営責任者(CEO)は、この案を「完全にばかげている」と一蹴した。
19日の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道をロイターが確認したところでは、政府は大手スーパーに対し、課税の延期や規制緩和と引き換えに、卵やパン、牛乳などの主要製品に価格上限を導入するよう求めていたという。
だが政府は翌日になってこの提案に否定的な姿勢に転じた。
スターマー首相の報道官は「政府が課す、あるいは強制する価格上限という具体的な考えは検討していないが、家計へのコスト圧力を軽減するためにどのように協力できるかについて、スーパーマーケット側と建設的な対話を続けている」と述べた。
スコットランドの地方議会で政権を握るスコットランド民族(SNP)は「必需品」となるスーパーの品目に最高価格を導入する計画を発表している。
こうした中でM&Sのマチン氏は記者団に「政府がビジネスを運営しようとすべきではない。恐らくビジネスをもっと理解しようと努めるべきだ」と苦言を呈した。
マチン氏は、M&Sを含む多くの小売業者が既に牛乳、パン、バナナなどの主要食品を赤字で販売していると述べ、税金や規制の圧力を緩和することこそが食品インフレの抑制に効果的だと付け加えた。
業界側は、中東の紛争による新たな圧力がかかる前から、雇用主への増税、最低賃金の引き上げ、新しい包装税、製品の再調合案といった最近の政府の施策が、既にインフレに拍車をかけていたと主張している。
FTの報道について問われた財務省の報道官は19日、リーブス財務相が家計のコストを抑えるためにもっと多くのことをしたいと明言しており、追って詳細を発表すると語った。リーブス氏は21日に演説する予定だ。
一方イングランド銀行(BOE、英中央銀行)のベイリー総裁は議会下院で、食品価格の上限設定は持続不可能だとの見解を示した。
業界首位のテスコやセインズベリーなどの大手スーパーグループを代表する英小売業連盟(BRC)は、価格上限設定に反対すると表明。ヘレン・ディキンソンCEOは「1970年代スタイルの価格統制を導入し、小売業者に商品を赤字で売るよう強いるのではなく、政府はそもそも食品価格を押し上げている公共政策コストをどのように削減するかに焦点を当てるべきだ」と訴えた。