Takahiko Wada
[東京 20日 ロイター] - 日銀は21日からの債券市場参加者会合で、6月に実施する国債買い入れの中間評価に向けて市場の声を聞く。2027年3月までの減額ペースや27年4月以降の買い入れ額の見直しが焦点となるが、足元で英国の政情不安や中東紛争に伴うインフレ懸念から世界的な金利上昇に見舞われるなど、国債需給は緩みやすい状況が続く。市場では、27年4月以降も月2兆円程度の買い入れを維持するとの見方が出ている。
<国債保有残高は530兆円>
21、22日に行われる債券市場参加者会合は、中間評価の土台となる協議の場との位置付けで、会合で出た意見を踏まえ、日銀内で検討を本格化させる構えだ。
24年3月の異次元緩和終了後、日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)の下で買い入れた膨大な国債の保有残高を減らすため、同年8月から買い入れの減額を始めた。
月間買い入れ額について、当初は四半期に4000億円ずつ減らしたが、昨年6月の中間評価で26年度入り後は四半期に2000億円と減額幅の縮小を決め、27年1―3月に月2.1兆円まで買い入れ額が減ることになっている。
24年7月時点で592兆円に上った国債保有残高は、足元で530兆円まで減少。6月の金融政策決定会合では、27年3月までの買い入れ計画の変更の要否と同年4月以降の買い入れのあり方が焦点となる。
<市場機能は改善>
これまでのところ、日銀内では27年3月までの現行計画について、予見可能性を重視して、変更する必要はないとの声が出ている。一方、同年4月以降については、四半期当たりの減額ペースを例えば1000億円に減らしたり、減額を停止して月2.1兆円で据え置く選択肢もあるとみられる。
国債買い入れの減額を進めることで、市場機能は改善したとの見方が日銀では出ている。
昨年の中間評価では、日銀の残存10年以下の保有比率が引き続き高水準なことがイールドカーブの歪みにつながっているとの声が市場参加者から出ていた。ただ、10年以下を中心に買い入れを減らしたことで、こうした指摘は後退している。
買い入れの絶対額が小さくなってきたことで、償還を踏まえれば国債保有残高が着実に減っていくと予測されることも、減額幅の縮小や減額停止の主張をサポートしている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストによれば、日銀が27年4月以降、国債買い入れを月2.1兆円で据え置いた場合でも保有残高は年間40兆―50兆円程度減っていくという。
<27年4月以降、買い入れ据え置きの見方>
他方、市場関係者の間では国債の需給バランスの不安定化への警戒感もある。金利のある世界の到来で銀行が本業の貸出で収益を稼げるようになった結果、「10年以下のゾーンでも需要が後退しているのではないか」(機関投資家)との声も聞かれる。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストの試算によれば、国債市中残高の前年差は26年度が56.2兆円、27年度(買い入れが四半期ごと1000億円減額される前提で試算)が62.1兆円で、27年度は過去最高だった04年度の64兆円に迫る。「民間投資家の需要が大きく増えるか、金利が上昇するか、いずれかがなければ均衡しない需給バランスだ」と稲留氏は語る。
ある関係者によれば、市場会合に先立つ事前アンケートの締め切りは5月12日。その後、長期金利が急騰する現状に対し「会合では27年4月以降は買い入れ額を据え置くなど、市場への配慮を求める声が多く出されるのではないか」(同関係者)との見方が出ている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田氏は「6月会合までに市場混乱がなければ、市場参加者からの要望があるだろう買い入れ減額の継続と思っていた。ただ、足元では国債市場が不安定化しており、混乱が続くようであれば減額停止の可能性もあると思い直している」と話す。
植田和男総裁は前回の中間評価を行った昨年6月の決定会合後の会見で、減額ペースを四半期2000億円に落とした理由として「国債市場の安定」を強調した。
野村証券の岩下真理・エグゼクティブ金利ストラテジストは、10年金利の上昇ピッチが速すぎるため、日銀としても「市場に配慮した形にならざるを得ないのではないか」と予想。市場会合での意見を踏まえ、27年4月以降は四半期1000億円の減額、あるいは2.1兆円での据え置きがメインシナリオだという。