そうすれば、ただでさえ破壊的で重たいこの究極の家族紛争がカメラに曝されることもなかっただろう。 アイデンティティや父を求めることを誰が連続ドラマにしたいと思うだろうか? 「誰もいない、夫婦生活が暴きたてられることに慣れている王家の人でさえも」
そして、まだ時間があった時に、秘密裡に和解で「デルフィーヌ事件」を収拾すべきであったという。
フランドルとワロニーの対立のために、もし国王がいなければ国はとっくに分裂していただろうといわれる。国王は、ベルギーを一つの国家として繋ぎとめ、文字通り「国民統合のシンボル」になっている。そもそもベルギーは、カトリックのワロンにカトリック教徒のオランダ人がプロテスタントのオランダから分かれて合体したものだ。国王にはカトリック教徒としての徳が要求される。
しかし、この事件について、そのような(前)国王としての資質についての批判、ましてや君主政の賛否についての議論はまったくあがっていない。たまたま王族に生まれた人間としての私的な出来事と国家を支える制度・職能としての国王とを混同せず、過剰な倫理観を押し付けることもなく、ベルギー国民は「大人の対応」をしている。

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