長年にわたって老年医療に携わってきた立場を軸として、『「高齢者ぎらい」という病』(扶桑社新書)の著者である和田秀樹氏は、巷にあふれる「高齢者ぎらい」を問題視している。

 テレビをつければ、「また高齢者の暴走事故が起きました」というニュースがセンセーショナルに報じられ、スタジオではコメンテーターたちが「もう高齢者から免許を取り上げるべきだ」と語り、それに呼応するかのようにSNSでは「高齢者は危険」「いい加減にしてほしい」といった言葉があふれます。そんな中で少しでも高齢者を擁護しようものなら、いわゆる炎上という憂き目に遭うのです。(「はじめに」より)

『「高齢者ぎらい」という病』

その通りかもしれない。本書を読み進めるなかで私自身、「気づかないうちに、そうした報道をある程度は信じていたのかもしれない」と感じた。

確かにメディアは、高齢者による“一部の出来事”を、すべての高齢者がそうであるかのように報じ、負の感情を増幅させている。

著者はテレビの責任を強調しているが、それは他媒体にも確認できる傾向だろう。ましてや個人の感情が必要以上に強調されるSNSにおいては、“事実”はより偏っていくものだ。

 その結果、「高齢者が多いから現役世代が苦しい」というありもしない短絡的な図式が、「真実」として浸透し、「今こんなに生活が苦しいのは、増え続ける高齢者のせいだ」という話ができあがってしまったのです。(「はじめに」より)

和田氏が敢えて「ありもしない短絡的な図式」という表現を用いるのは、その根拠を本書で冷静かつ客観的に解説しているからである。ここではその中から、先述した「高齢者の暴走事故」に焦点を当ててみたい。

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