<21人の「シニア労働者」インタビューから浮かび上がる、それぞれの働く理由、現場に隠された問題>

先日のこと。近所の工事現場前で警備員に「何ができるんですか?」と声をかけてみた。とてもいい方だったのだが、話しかけてよかったと思いながら気づいたことがあった。
『ルポ 過労シニア』
その人だけでなく、別の日に通った電気工事中の道で誘導してくれた警備員も、いつもショッピングモールを掃除している男性も、朝早くにメール便を届けてくれる女性も、考えてみればみんな70代くらいだったのだ。

そういう人たちが働く姿に違和感を抱くこともなかったのだが、『ルポ 過労シニア』(若月澪子・著、朝日新書)を読んだ結果、「日常的な光景になった」で終わらせてはいけないと改めて感じた。だいいち、年齢的には私だってシニアの領域にいるのだ。ひとごとではない。

さまざまな環境で生きる21人の「シニア労働者(働く高齢者)」へのインタビュー取材をまとめたノンフィクション。各人がどのような動機で働き、仕事をどのように捉え、シニア労働の現場にどのような問題が隠されているかを、インタビューを通じて明らかにしているのである。


 今の日本の労働現場におけるシニア労働者の立ち位置は、女性や外国人労働者と同等、あるいはそれ以下の極めて低い地位にある。シニアには仕事の選択肢が少なく、賃金は低く、そして健康不安を抱えながら働く人も多い。それでも彼らが働くのはなぜなのか。(「はじめに」より)

経済的な事情だったり、自己表現のためだったり、働く理由は多種多様だ。気持ちとは裏腹に、働きたくても仕事が選べないという壁もある。だが、それでも働かないわけにはいかないという人は決して少なくない。

細胞を「生物学的資産」として管理する時代へ──iPS細胞治療の最前線
細胞を「生物学的資産」として管理する時代へ──iPS細胞治療の最前線
「私は重い荷物を背負っている。38歳の息子です」