トランプが知らない貧しい中国
一方、代表団に加わる銀行やクレジットカード会社は、あまり見返りが期待できないだろう。中国はすでに独自の決済システムを地域・世界レベルで拡大しており、市場開放への意欲はあまり見られない。
人工知能(AI)分野も同様だ。中国政府は4月、中国発AI企業「マナス」を巡るメタ側の買収計画を阻止したと報じられた。今回訪中するメタ側の代表が何を得られるのかは不透明だ。中国はAI分野について、柔軟性を示す領域ではないことを明確にしている。
米企業が中国市場攻略に苦戦する背景にはもう一つ、あまり注目されないが大きな理由がある。中国製品は過当競争とイノベーションに支えられて急速に進化しているが、一方で、すべての国民が豊かになっているわけではないという点だ。
トランプが目にしない中国の一面には、大都市以外でシャッターを下ろした店舗や空きビルがある。長引く不動産不況の犠牲者たちだ。また、新型コロナウイルス禍以降、経済低迷が続いていると不満を漏らす人々や、道端でわずかな野菜を小銭で売る農民、「何の機会もない」と感じて「寝そべり」を選んだ若者たちにも出会うことはないだろう。
中国は最近、成長率見通しを4.5〜5%へ引き下げた。これは1991年以来の低水準だ。米国の1.6%予測と比べれば依然として印象的に見えるが、実態をどこまで反映しているかには疑問も残る。
その重要な指標の一つが国内自動車販売だ。4月の販売台数は前年同月比で25%超減少した。一方、中国の自動車輸出は約85%急増した。
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