Maki Shiraki
[横浜市 13日 ロイター] - 日産自動車は13日、2027年3月期の連結純損益が200億円の黒字になる見通しと発表した。構造改革費用の計上により5330億円の赤字だった前年から大きく改善し、3年ぶりの黒字化を見込む。IBESがまとめたアナリスト11人の予想平均496億円の黒字には届かなかった。厳しい事業環境は続くが、コスト削減を進めながら販売回復を目指す。配当は3年連続の無配とする方針。
今期の世界販売は前年比4.7%増の330万台を計画。日本、北米、欧州、中国など主要市場で増加を見込む。工場統廃合後の生産能力は、世界全体で平均約80%の工場稼働率を実現した上で250万台(中国除く)を前提とする。
イバン・エスピノーサ社長は決算会見で、主力市場の米国では「(収益性の低い)フリート(法人の大口顧客)販売への依存度を低減し、戦略的に小売(個人客向け)に集中している」と指摘。日本ではマーケティング活動の強化によって販売店への集客力が戻りつつあり、中国ではターゲットを絞り込んだアプローチによって日産車は「より明確なポジショニングを確立しつつある」と述べた。
日産はハイブリッド車の需要がおう盛な米国で商品を投入できなかったことなどで販売低迷に陥った。世界で生産拠点や人員を減らすなどして固定費を削減し、販売の効率化も進めた。同社長は決算発表後、一部報道陣に対し、米国市場は販売奨励金が前年より増えているものの事業全体はより健全化しているとの見解を示した。
今期営業利益予想は同3.44倍の2000億円で、米関税の影響は約2500億円を見込む。
中東情勢の影響は、物流混乱による台数減少と原材料高を考慮し、今上期に営業減益要因として150億円を織り込んだ。今上期の影響台数は約1万9000台を想定する。原材料の代替調達や代替ルートによる中東地域への車両輸送、一部の中東向け車両を他の地域へ仕向け地を変更するなど対応策にも取り組んでおり、エスピノーサ社長は「流動的な状況だ」とも説明した。
26年3月期の自動車事業フリーキャッシュフローは、通期では4808億円の赤字だったが、下期は1120億円の黒字に回復した。エスピノーサ社長は「しっかりとした運転資本の改善と厳格な資本配分の徹底が奏功しており、米関税の影響を除くと、自動車事業の営業利益は予定を上回るペースで改善している」と述べた。
同期末時点の自動車事業のネットキャッシュは 1兆1700億円だった。自動車事業の手元資金および現金同等物は2兆2000億円で、販売金融会社に対する貸付金1兆4000億円と合わせて3兆6000億円の流動性を維持した。日産は「継続する不透明な事業環境に対応できる十分な資金を確保している」としている。
26年3月期の米関税の影響は、営業利益を2860億円押し下げた。また、構造改革や電気自動車(EV)関連の減損2401億円を特別損失として計上した。
同社はこれまでに世界の生産拠点を17から10に減らすことを決め、今期中に7つのうち6つの拠点の統廃合を完了する予定。