Leila Miller Rodrigo Campos

[ブエノスアイレス 12日 ロイター] - アルゼンチンのカントリーリスクが、2月初旬以来の低水準に達した。政府の債務返済能力への信頼は高まっており、同国が国際金融資本市場に復帰する時期が来たのではないかという議論が巻き起こっている。

JPモルガンの新興市場債券指数(EMBI)に基づいて算出されたアルゼンチンのカントリーリスク指数(アルゼンチン国債と米国債の利回り差)は11日時点で498ベーシスポイント(bp)まで縮小した。

先週には、フィッチ・レーティングスがアルゼンチンの格付けを「Bマイナス」に引き上げ、見通しを「安定的」としている。「B」格付けは「継続的な支払い能力は悪化に対して脆弱」だが、必ずしもデフォルト(債務不履行)に陥らないことを示唆している。

もっともカプート経済相や他の当局者は、国際金融資本市場で新たな債券を発行する前にスプレッドが250bp近くまで低下することを望んでいると発言。現時点では国内発行債券のような、より安価な選択肢があると主張している。

アルゼンチンのカントリーリスクは、ミレイ大統領の財政緊縮プログラムが危ういとの投資家の懸念が強まった2025年9月に1400bp超まで急騰して以降は、着実に低下してきた。

メネム元政権下で経済分野の高官を務めたパブロ・グイドッティ氏は、カントリーリスク低下は「特に財政収支を維持してきたことにより、時間の経過とともにアルゼンチンの経済政策が信頼を勝ち得ていることを反映している」と分析した。

スプレッドは今年初めに500bpを下回った後、ミレイ氏の支持率が汚職スキャンダルで打撃を受けたため、じわじわと630bp強に拡大した。しかし財政収支の維持を政権の要としてきたミレイ氏は、24年1月以来毎月財政黒字を達成し続けており、投資家の信頼を支えている。

<好機到来か時期尚早か>

ブエノスアイレスのエコノミスト、グスタボ・ベル氏は、アルゼンチンが国際金融資本市場での資金調達を模索する前に、さらなる大幅なスプレッド低下を待つとの見通しを示した。

議論が高まり、投資家が国際金融資本市場への復帰を好んでいるにもかかわらず、当局はより競争力のある金利で債券を売却することを目指し、外貨準備高を積み上げるためのさらなる時間を欲しがるだろう、というのがベル氏の見解だ。

アルゼンチンは現在、債務の償還資金を賄う上で入札方式を通じた国内市場向け債券発行に注力している。ただ複数のエコノミストによると、国際金融資本市場向けのソブリン債が、国内債券よりもはるかに競争力が低い、つまり高い利回りを設定しないと消化できないという事実は、さらなる状況改善の余地があることを示しているという。

グイドッティ氏は、アルゼンチンのカントリーリスクがさらに低下するかどうかは、ミレイ政権が打ち出した大規模投資インセンティブ制度(RIGI)の行方などの要因に左右されるとみている。この制度は、通常2億ドル以上の投資に対して税制上の優遇措置と長期的な法的枠組みを提供するものだ。

カプート氏は先月、RIGIの下で承認されたプロジェクトはエネルギーと鉱業に集中しており、総額は約280億ドルで、検討中の他のプロジェクトを含めると総投資額は1000億ドル近くに達すると述べた。先週には同氏がこの制度を新しいセクターに拡大する「スーパーRIGI」も発表した。

だが一部のエコノミストは、アルゼンチンは今すぐ国際金融資本市場を活用すべきだと主張している。そうすることで、カントリーリスクの低下を加速させるような信頼感を明示できるからだ。

ベル氏は「このチャンスを活かして(国際金融資本市場での発行を)試し始めるのが適切だろう。多くの投資家もそれを望んでいる」と述べた。

コンサルタント会社ホライズン・エンゲージのアナリスト、マルセロ・ガルシア氏は、来年の次期大統領選挙を控えて政治的に不安定な事態が生じると予想される中、国際金融資本市場に参入できる時間は限られていることを投資家は知っていると指摘。「選挙が近づくにつれて市場参入は困難になる。そうなれば、政府は選挙戦の嵐を乗り切る上でより弱い立場で来年を迎えることになる」と語った。

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