Mei Mei Chu Antoni Slodkowski Trevor Hunnicutt
[北京 12日 ロイター] - トランプ米大統領は13日に中国を訪問し、14─15日に習近平中国国家主席と会談する。1年前は、巨額の関税によって中国を屈服させられると考えていたトランプ氏だが、関税措置には違法判断が下り目算が外れた。今回の訪中は、大豆や牛肉、ボーイング製航空機に関する幾つかの取引と、国内でも不評のイラン紛争終結に向けた中国の協力取り付けを目指すとアナリストは指摘する。
トランプ氏と習氏の対面での会談は、韓国の空軍基地内で行われた昨年10月以来。その際は短い時間の話し合いで、米国の対中関税引き下げ、中国による米国産大豆購入再開、レアアース(希土類)輸出継続などで合意した。
今回の訪中は、人民大会堂での首脳会談のほか、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産視察、公式夕食会、お茶や昼食を楽しむなど、融和的雰囲気を演出するような予定が組まれている。しかし、当局者らは、米国にとって期待される経済的成果は少数の取引や将来の貿易を管理する枠組みにとどまり、貿易休戦の延長に合意するかどうかさえ不透明だと話す。
中国外交政策の専門家、香港大学のアレハンドロ・レイエス教授は、中国がトランプ氏を必要とする以上に、トランプ氏が中国を必要としていると指摘。「トランプ氏は、自分が国際政治を混乱させているわけでなく、世界の安定確保を目指していることを知らしめる、いわゆる外交的勝利を必要としている」と語った。
トランプ氏は11日、習氏との会談で台湾への武器売却のほか、廃刊された香港紙の元トップで収監中の民主活動家、黎智英(ジミー・ライ)氏の件を取り上げる見通しを示した。また、中国で10年以上収監されている米国人2人の家族も、トランプ氏に対して解放に向けた取り組みを求めている。
トランプ氏は「米国は歴代大統領の時代に何年にもわたって利用されてきたが、今は中国と非常にうまくやっている」とし、「私は彼(習氏)を大いに尊敬しており、彼も私を尊敬してくれることを願っている」と語った。
今回の訪中では、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)やアップルのティム・クックCEOなどの企業トップが同行するが、規模は2017年の前回訪中時よりも小さい。
<イラン問題>
先月のロイター/イプソスの調査によると、米国人の60%以上が米国の対イラン作戦に反対している。
中国はイランとの関係を維持しており、イラン産原油の主要な買い手だ。トランプ氏は中国に対し、紛争終結に向けた合意をイラン側に説得することを望んでいる。
第1次トランプ政権で大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたマット・ポッティンジャー氏は台北で先週開催されたフォーラムで、中国は米国の力を弱める結果を望んでいるものの、長期化する紛争の経済的代償と無縁ではないと述べた。
中国政府は見返りを求めている。習指導部にとって「核心的利益」の一つが台湾だ。首脳会談で、中国を勢いづかせ、台湾の武力統一につながるディール(取引)が成立するのではないという懸念が出ている。米政府の表現が微妙に変化しただけで、米国の台湾への関与に対する不安が高まり、アジアの他の米同盟国にも波及することになる。
中国外務省の政策諮問委員を務める復旦大学の吴心伯教授は、トランプ氏は「独立を支持せず、分離主義的な政治的意図を助長する行動も取らない」ことを明確にすべきだと語った。
<表面的な休戦>
関係者によると、中国は、トランプ政権が将来、技術輸出規制などの報復的な貿易措置を取らないことや、半導体製造装置や先端メモリーチップに関する既存の規制撤回を確約するよう求めている。
中国政府は昨年10月以降、サプライチェーン(供給網)を中国から移転させる外国企業を罰する法律の制定、レアアースの許認可制度厳格化など、経済的影響力の拡大に動いている。
シカゴ・グローバル評議会が昨年10月に発表した調査によると、米国が中国と友好的な協力と関与を行うべきだと答えた米国人は53%と過半数を占め、24年の40%から上昇した。
こうした状況を踏まえると、トランプ氏にとっては、中国との関係を安定させ、貿易戦争の休戦を延長するだけでも「勝利宣言」するのに十分かもしれない。
米中首脳会談の主だった成果は「大半が中国に有利な表面的な休戦」になりそうだと、米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のスコット・ケネディ氏は指摘した。