Dan Burns

[8日 ロイター] - 米労働省が8日発表した4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を大きく上回った一方、失業率は前月から横ばいだった。米国・イスラエルとイランとの戦闘と、それに起因するインフレ圧力を前にしても、労働市場は底堅いことが示された。

だが、雇用統計をきめ細かく点検すると、労働市場はブームとは程遠い。事業所調査では全体の雇用者水準が過去最高を記録した一方、家計調査に基づく就業者数は減少した。さらに、米国の労働力は急速に減少しており、労働参加率は約5年ぶりの低水準で、雇用の広がりも乏しい。

直近の雇用統計から読み取れる労働市場の動きは以下の通り。

<雇用者数は過去最高か>

雇用統計は事業所を対象とする調査と家計調査の2つで構成されている。今年これまでのところ、双方の調査は異なる状況を示している。

事業所調査では、非農業部門雇用者数は4月に過去最高の1億5870万人となり、今年に入り30万4000人増えた。だが失業率の指標となる家計調査では、就業者数は今年137万人減少した。

<労働力の減少>

就業者と求職者を合計した米国の労働力は、トランプ政権2期目の発足時に比べて減少している。今年4月の労働力は2025年1月よりも約70万人少なく、過去5カ月のうち4回は前月を下回った。

<労働力の縮小は記録的ペース>

労働力は実際、2025年終盤から記録的なペースで縮小。昨年11月に過去最高を更新して以降、約155万人減少した。2020年の新型コロナウイルスのパンデミック局面を除いて、過去最速の減少ペースだ。家計調査では就業者が大きく減少すると同時に、労働力も同程度の規模で縮小した。これこそが、失業率が上昇しなかった唯一の理由だ。

<労働参加率は低下>

失業率が横ばいで推移する一方、労働参加率は急速に低下している。4月に労働参加率は5カ月連続で下がり、パンデミック期を除けば1970年代半ば以降で最低となった。

<移民政策の影響>

トランプ氏は、移民の取り締まりと、労働市場に対してやり残した公約の実現を約束して大統領に返り咲いた。バイデン前政権下では、移民労働者は労働力と雇用者の伸びの全てではないにせよ、大半を占めていた。トランプ氏の政策は、昨年の2期目就任直後の数カ月はこうした状況を反転させるのに寄与した。2025年半ばまでは、雇用者と労働力の伸びはほぼ全て、米国生まれの労働者によるものであり、移民労働者が占める比率は低下した。だが昨年第4・四半期以降は、こうした傾向は大方覆り、米国生まれの労働者の雇用と労働参加率は第2次トランプ政権発足時の水準に戻った。これらの数値は移民労働者においても減少したが、減少幅は昨年半ばほど大きくはない。

<雇用の裾野は広がらず>

事業所調査を見ると、雇用は一握りのサービスセクター、特にヘルスケア部門に集中している。全業種にわたる雇用の広がりを示す米労働省のディフュージョン・インデックスでは過去数カ月、雇用を縮小した業種よりも雇用を拡大した業種の方が若干多かったことが示された。だが12カ月平均では、雇用縮小業種の方が多い傾向が続いている。

さらに、トランプ氏が関税政策などを通じた復活を強調する製造業は、雇用の広がりが見られないままだ。4月に製造業の雇用者数は前月比2000人減少し、トランプ氏の2期目就任以降では7万7000人減った。

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