──アメリカのキリスト教には多様なグラデーションがあるが、「米福音派が米政府を動かしてイラン・シーア派のイスラム体制と戦っている宗教戦争だ」と、かなり単純化して切り取られがちだ。
宗教戦争をあおるメディアは批判されてしかるべきだ。福音派の中にもこの状況を憂えている人もいて、こういう形でイスラエルに引きずられるのはおかしい、戦争反対だという人もいる。
明確な敵がいるほうが一般民衆は安心するが、内部でも葛藤があるなかで、どう政策が決定されているかは慎重に見たほうがいい。
──メディア戦略として宗教をうまく活用することがトランプ政権の特徴だが、今回も最大限利用したとみているか。
戦争は一般大衆からは見えない。軍事情報はかなり統制されており、それをどう見せるかはその国ごとに戦略的だ。
今回、例のホワイトハウスでの祈禱や福音派リーダーが集まっている場面が切り抜かれて報道されたことで、「アメリカは強い。神に選ばれた強いアメリカがわれわれのために戦ってくれている」と励まされた福音派や保守的なカトリックがいることも確かだ。
本来、近代の戦争は絶対的な善悪から一歩引くべきなのに、「神はわれわれの側にいて、敵はイラン」と、明確に敵を定めて攻撃する方向になっていることが、いま一番の懸念だ。
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