──ピート・ヘグセス米国防長官は宗教的なナラティブを使って、作戦の指揮や軍の鼓舞をしていた。
一部の軍の上官らが、保守的なキリスト教ナラティブの中で「これはハルマゲドンだ」「イランをたたくために神が与えてくれたチャンスだ」と部下に語っていたとする告発がある。米軍内部ではこうした宗教的な言動をめぐり、宗教の自由の侵害を訴える苦情が多数報告されている。
ハルマゲドン
新約聖書の「ヨハネの黙示録」に登場する終末の最終決戦。キリストの再臨直前に、エルサレム周辺で神と反キリスト勢力との最終戦争が起こり、悪が完全に滅ぼされる。その後キリストが平和に世界を治める理想の時代が始まるとされる。一部の福音派はこれを文字どおり未来に起こる出来事と捉え、戦争をキリスト再臨前の兆しと捉える傾向がある。
また、4月2日のホワイトハウスでの祈禱において、フランクリン・グラハム(米国で著名な福音派伝道者であるビリー・グラハムの息子)は、イランに言及しつつ、トランプを旧約聖書のエステル記の文脈で「神によって立てられた指導者」だと語った。
ビリー・グラハム
20世紀のアメリカを代表する福音派の伝道者。大衆的な影響力を持っていた人物。米国各地でクルセード(十字軍の聖戦)と呼ばれる宗教集会を開き、アメリカの戦後のキリスト教復興運動を牽引した。2018年に死去。
エステル記は、ペルシャ帝国下でユダヤ人が虐殺の危機に瀕し、王妃エステルがそれを救う物語だ。
これは、現代の地政学的な対立を聖書的象徴によって読み替える典型例と言える。
こういった「宗教言説」は、今回の戦争を正当化するための手段として使われている可能性が高い。