現代の紛争形態そのものを象徴する「現象」
これまでのテロ対策は、主にサラフィー・ジハード主義者などによるテロの阻止に主眼が置かれてきたが、Ashab al-Yaminが体現する脅威は大規模な殺傷は伴わないかもしれないが、各地で散発的に発生する放火や爆発、そして実態のつかめない犯行声明は、社会や市民に新たな懸念や恐怖を与え、治安当局の労力、資源を分散・枯渇させる。
特に欧州には、イデオロギー的に親イラン的な支持基盤や、社会から疎外され過激化しやすい層、さらにはリクルートの対象となりやすい犯罪者ネットワークが広範に存在しており、これらがAshab al-Yaminのような組織にとっての活動を容易にする網として機能してしまっている。
かつてはヒズボラやハマスといった既知の組織が欧州での活動に関与してきたが、Ashab al-Yaminの出現以降、これらの組織は表立った活動を一時的に控えているように見える。
これは、新たな「HAYI」というブランドを前面に押し出すことで、既存組織への制裁や監視を回避しつつ、より実効的なグレーゾーン工作へ移行したことを示唆している。Ashab al-Yaminは、単一のテログループというよりも、現代の紛争形態そのものを象徴する「現象」であると定義できるかも知れない。