[フランクフルト 30日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は30日、予想通り政策金利を据え置いた。インフレ率の急上昇に対する懸念の高まりを示唆した。

ラガルドECB総裁の理事会後の記者会見での発言は以下の通り。

<財政支援は的を絞って行う必要>

これは、ECBが何らかの管轄権限または決定権を有する分野ではない。ただ、インフレに影響を及ぼす論点であることから言えば、いかなる財政支援であれ、追加的な所得給付であれ税制上の減免であれ、一時的であり、対象が絞り込まれ、かつ目的に即して設計されたものでなければならない。また、特に価格シグナルは損なわれるべきではないと考えている。

<二次的な効果が見られない>

二次的な影響は見られない。直接的な影響は確かに見られ、間接的な影響も多少は見られるが、二次的な影響は全く見られない。これはわれわれが非常に注意深く見守る必要がある点だ。

<ECBの反応関数>

ECBの反応関数には、大きく分けて3つの柱がある。インフレ目標は中期的に2%で、これが1つ目だ。2つ目は対称性で、これは本日議論し再確認した。3つ目は、ECBの反応は、観測された目標からの逸脱の種類によって決まる。それは大きく持続的なものなのかどうかを問う。

われわれは、インフレ率を中期的に目標である2%に戻すために、強力かつ持続的な対応策を講じる。その対応策を実行するために用いるデータとプロセスは、金融政策声明、つまりインフレ見通しとそれに伴うリスクに関する声明だ。われわれはまた、基調インフレ率と金融政策の伝達メカニズムについても検討を行う。

<「スタグフレーション」の概念は当てはまらない>

スタグフレーションは70年代に起こったことを的確に表す言葉だ。70年代には、インフレが持続的かつ一定のペースで続いていた。失業率は非常に高く、当時の金融・財政政策は現在とは全く異なるものだった。現状は全く異なる。このためわれわれは「スタグフレーション」という派手な用語を、現在の状況には当てはめない。

<状況の進展を評価する6週間>

この6週間は、状況の推移を評価し、特に紛争の結果、あるいは結果が生じない場合でも、それ自体が今後、意思決定を行うための重要な情報となることを理解するための期間だ。

われわれは状況を注視しており、経済の動向やマイナスの供給ショックがインフレと経済活動に与える影響を注視していく。あらゆる視点からの客観的・主観的データ、調査結果など、新しいデータを絶えず収集し、それらを検証し、調整し、全てを把握する。6週間後の6月には、スタッフ予測だけでなく、改訂・更新されたシナリオも示せるだろう。

<不十分な情報に基づく、十分に検討された決定>

本日の決定を要約すれば、なお十分とはいえない情報に基づきつつも、十分な検討を経て意思決定を行った、ということである。なぜ、それが十分に検討された決定であると言えるのか。それは、われわれが複数の選択肢について、長時間にわたり、かつ掘り下げた議論を行ったからだ。本日全会一致で決定した内容について議論したのみならず、利上げを行う可能性についても、同様に長時間かつ詳細な検討を行った。

<基本シナリオから離れる>

(ECBの)基本シナリオと比較すると、われわれは確かにそこから離れつつある。具体的にどこにいるのか、基本シナリオと他のシナリオの間のどの地点にいるのか、最も適切な評価は分からない。極めて重要なのは、エネルギー価格がもたらす影響だ。

<エネルギー転換を加速させる改革は不可欠>

理事会は、健全な財政を維持しつつユーロ圏経済を強化する必要性が喫緊であることを強調する。エネルギー価格ショックに対する財政対応は、一時的かつ的を絞った、個々の状況に合わせたものでなければならない。ユーロ圏の成長潜在力を高め、化石燃料への依存度を低減するためのエネルギー転換を加速させる改革は、これまで以上に重要になっている。

<インフレリスク>

インフレ見通しに対するリスクは上振れ方向にある。エネルギー価格が現在の予想よりも大きく、かつ長期にわたって上昇すれば、ユーロ圏のインフレ率はさらに上昇するだろう。エネルギー価格の上昇が予想以上に他の物価や賃金に波及したり、それに応じて長期的なインフレ期待が高まったり、あるいは世界的なサプライチェーンがより広範に混乱したりすれば、この傾向はさらに強まり、より持続的なものとなる可能性がある。

<成長リスクは下振れ方向に>

成長見通しに対するリスクは下振れ方向にある。中東での戦争はユーロ圏経済にとって依然として下振れリスクであり、不安定な世界情勢をさらに悪化させている。エネルギー供給の長期的な混乱は、エネルギー価格を現在の予想よりもさらに、そして長期にわたって上昇させる可能性がある。

<インフレ期待>

インフレ期待は短期的に大幅に上昇している。長期的なインフレ期待を示す指標のほとんどは2%前後で推移しており、中期的にインフレ率が目標水準付近で安定することを裏付けている。

エネルギー価格の上昇により、短期的にはインフレ率は2%を大きく上回る水準に維持されるだろう。エネルギー価格高騰の期間が長引くにつれ、間接的および二次的な影響を通じて、より広範なインフレへの影響は強まる可能性が高い。したがって、われわれはエネルギー価格高騰の規模と持続性、そしてそれが価格や賃金決定、インフレ期待、そして経済全体の動向にどのように波及するかを綿密に監視していく。

<見通し不透明>

「国内需要は依然として成長の主要な原動力であり、堅調な労働市場に支えられている。しかし、経済見通しは極めて不確実であり、中東での戦争がどれだけ長引くか、そしてそれがエネルギーやその他の商品市場、さらには世界のサプライチェーンにどれほど大きな影響を与えるかに左右されるだろう。」

<戦争前、経済は勢いを見せていた>

ユーロ圏経済は、現在の混乱が始まるまでは、ある程度の勢いを見せていた。

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