ロシアでは操業体制を変え、消費者も変わった

味のよさでも知られるマイワシは、大量に漁獲できるぶん価格が安い。そんななか、ロシアではマイワシ資源を有効活用するために操業体制を変え、大型船を導入することによって漁獲量を急増させた。ロシアの消費者もこうした状況を受け入れ、マイワシとその缶詰を大量に消費するようになったのだという。

これは評価に値することであり、日本も参考にするべきではないだろうか。著者も、安価で栄養価の高いマイワシを多く食べることは“賢い消費”“環境に調和したスタイル”であると述べている。

鮮魚消費だけでなく、缶詰や干物などの加工原料として有効利用することも需要の幅を拡大します。それでも利用しきれないほど漁獲されるのなら、高騰する養殖飼料の代替として利用できます。増え続けるマイワシの生産・流通・加工を繋いだ総合的なサプライチェーンを迅速に整備するほうが、サンマの養殖技術を開発するよりずっと現実的で、社会のためになりそうです。(71ページより)

メディアでは地球温暖化の悪影響ばかりがクローズアップされるが、海水温上昇の影響で日本近海にブリやクロマグロが増えているなど、悪いことばかりではないようだ。

漁業はそもそも変化する自然を相手にした原始産業なのだから、これまでがそうであったように今後も柔軟に生産構造を変化・洗練させ、“変化に対応できる柔軟な漁業”を大切にするべきなのだろう。

『日本漁業の不都合な真実』

 『日本漁業の不都合な真実

  佐野雅昭・著
  新潮新書

 

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[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。他に、ライフハッカー[日本版]、東洋経済オンライン、サライ.jpなどで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『この世界の中心は、中央線なのかもしれない。』( 辰巳出版)など著作多数。2020年6月、日本一ネットにより「書評執筆本数日本一」に認定された。

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