Takahiko Wada Takaya Yamaguchi Kentaro Sugiyama
[東京 28日 ロイター] - 日銀は28日の金融政策決定会合で、無担保コールレート翌日物の誘導目標を0.75%程度で維持することを6対3の賛成多数で決めた。会合で議論した展望リポートでは、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の高騰で物価が大きく上振れするリスクが顕在化する事態に警戒感を示し、引き続き政策金利を引き上げていく方針を示した。
3人の審議委員が反対に回るのはマイナス金利導入を決めた2016年1月の決定会合で反対が4票出たとき以来の多さ。中川順子審議委員、高田創審議委員、田村直樹審議委員が1.0%への利上げ議案を提出したが、反対多数で否決した。中川委員は物価の上振れリスクが高いとして、高田委員は物価目標の実現がおおむね達成されているとして、田村委員は中立金利に少しでも近づけるためとして利上げを提案した。
展望リポートでは、26年度の実質国内総生産(GDP)の見通しを大きく引き下げて前年度比0.5%増とする一方、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の見通しは2.8%上昇と大幅に引き上げた。前回1月は、26年度実質GDPが1.0%増、コアCPIが1.9%上昇だった。
日銀は、26年度は原油高で企業収益や家計の実質所得を下押しされ「成長ペースは減速する」とする一方で、物価については原油高がエネルギーや財の価格を中心に押し上げ方向に作用するとした。
基調的な物価上昇率については、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムが維持される下で徐々に高まっていき、「26年度後半から27年度にかけて物価目標とおおむね整合的な水準となり、その後も同程度で推移する」との見通しを示し、基調物価の2%達成時期を変更しなかった。
その上で、基調物価が2%に近づいている中、企業の賃金・価格設定行動が積極化していることなどを踏まえれば「特に、物価上昇率が大きく上振れていくリスクが顕在化し、それがその後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、十分に留意する必要がある」と指摘した。
先行きの金融政策運営については、基調物価が2%に近づく中で「現在の実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と明記した。その上で、緩和度合いの調整のタイミングやペースは、中東情勢の展開が経済・物価に及ぼす影響を注視した上で、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら検討していくと説明した。
中東情勢が不透明なことを踏まえ、今回の展望リポートの中心的見通しは、今後影響が和らぐもとで原油価格が下落し、サプライチェーンの大規模な混乱が生じないことを前提とした。ドバイ原油については、先物市場の動向などを参考に、1バレル105ドル程度を出発点に見通し期間の終盤にかけて70ドル程度まで下落していくと想定した。